コラム「そうだったのか!中学入試」
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第73話「2015年中学入試速報 第7弾!神奈川の私立中①――男子校・女子校――

2015年3月30日

入試速報シリーズ第7弾は神奈川の私立中入試についてのレポートです。今回は神奈川 の私立男子中学校と女子中学校(前半)の入試状況をお伝えします。

神奈川には公募している私立中学が61校あり、男子校が12校、女子校が23校、共学・併学校が26校です。その多くは横浜市、川崎市と鎌倉市、藤沢市などの湘南地区に集中しています。横浜は神戸とならび幕末の開港以来欧米文化の受け入れの窓口となったため、明治初期から宣教師や修道女によって設立されたミッション系の伝統校が多いのも大きな特徴です。61校中キリスト教主義の学校は23校で3分の1を超えています。

また高校募集のない完全中高一貫校が25校とその比率が高いのも特徴といえます。さらに神奈川私学が千葉・埼玉と異なるのが東京私学との関係で、東京・神奈川の私学はさまざまな面で連携していて、特に入試日程(入試解禁日)は東京と歩調をあわせて2月1日以降としています。そのため千葉・埼玉のような1月入試はなく、東京の受験生の「試し受験」の対象にはなっていません。言い方を換えれば、東京と神奈川の私立中学は「同じ土俵」で戦っているといってもよいでしょう(高校受験でも同様です)。

なお学校名の右の数字は2014年→2015年の応募者(前年比)と倍率、倍率は受験者/合格者による実質倍率で、合格者は正規合格者のみで繰り上げ合格者を含めずに算出しています。またMは男子、Fは女子です。

(1)男子校

まず上位校から見ていきます。

栄光学園 669→666名(100%) 2.3→2.3倍
聖光学院 1回 798→778名(97%) 3.1→3.0倍
2回 873→833名(95%) 5.4→5.0倍
浅野 1,863→1,762名(95%) 2.6→2.4倍
慶應義塾普通部 596→537名(90%) 2.9→2.7倍
栄光学園

栄光学園(鎌倉市)はイエズス会によって設立されたカトリックミッションの男子校です。昨年、宗派が同じ上智大学と法人統合されて話題になりました。経営的には統合されますが、教学面や校内の人事・組織は変更がないとのことです。

2017年の創立70周年を記念して新校舎建設がはじまりました。2年後の2017年の完成予定で、丘の上の非常に広いキャンパスですから新校舎完成までは現校舎のままで、仮校舎への移転やプレハブ校舎はありません。また広い校地を利用して、現代の学校建築では珍しい、1階は鉄筋コンクリート造り、2階は木造建築の2階建て校舎です。

かつては県内男子校のトップ校という確固とした評価がありましたが、ここ数年は聖光学院が入口の入試、出口の大学進学ともに並んできているため、横浜の受験生がかなり聖光学院に流れて前年は応募者が7%減でしたが今年は前年並みです。

今年の東大合格者数が67→45名と大きく減っていますが、過去20年の東大合格者数を見ると60~70名台の年が多く、2007年に44名と大きく下っていますが、45名は近年にない減少です。もっとも大きく減った次の年には大きく増えることも多いのですが、今年の東大実績の減少が2016年の応募動向に影響する可能性があります。

聖光学院(横浜市中区)もカトリックミッションの男子校です。都内上位生も相当数受験しています。新校舎が完成し、前年の10月にグランドオープン。
今春入試ではここ数年の難化でやや敬遠されたのか応募者が1回3%減、2回5%減で倍率も1・2回ともわずかに下がっていますが難易度に影響ありません。
この3年間の東大合格者数が62→71→74名(後期含む)と好調を続けています。

浅野
浅野

浅野(横浜市神奈川区)は2月3日という入試日のため、県内全域および都内城南部の男子上位生が集中し、県内では栄光学園や聖光学院、都内では麻布、駒場東邦や芝などとの併願受験者が多い学校です。

以前は2,000名を超える応募がありましたが、この数年は応募者減少が続いて、今年は1,863→1,762名と5%減で1,800名を切りました。前年までは倍率が安定していましたが今年は2.6→2.4倍とやや低下し、難易度はボーダーのあたりがやや緩和しているようです。
東大合格者数が34→40名と増え2016年は応募者が回復する可能性があります。

慶應義塾普通部(横浜市港北区)は、現在建設中の新校舎を2015年4月から使用開始します。横浜市に所在する学校ですが、生徒の約6割は都内生です。以前は800名前後の応募者がありましたがこの数年間は500名台になっています。今年の応募者は596→537名と10%減でした。倍率も2.9→2.7倍と下がっていますが難易度は変わっていません。

以上4校に続く学校を見ていきます。

サレジオ学院 A 393→366名(93%) 2.2→2.0倍
B 507→483名(95%) 3.4→3.1倍
逗子開成 1次 603→603名(100%) 2.0→2.4倍
2次 522→522名(100%) 3.3→4.9倍
3次 543→512名(94%) 3.0→4.6倍
鎌倉学園 算数 *→ 183名(新設) *→3.2倍
1次 525→518名(99%) 3.1→3.0倍
2次 507→483名(95%) 3.8→3.4倍
3次 404→379名(94%) 3.9→4.1倍
法政大学第二 1回 671→653名(97%) 3.5→3.1倍
2回 731→598名(82%) 4.4→4.7倍
藤嶺藤沢 1回 126→103名(82%) 1.9→1.7倍
2回 216→182名(84%) 1.4→1.5倍
3回 146→117名(80%) 1.6→1.8倍
4回 159→138名(87%) 1.7→1.6倍

サレジオ学院(横浜市都筑区)の応募者はAが7%減、Bが5%減ですが、Aは当日の欠席者が減り、受験者では5%減でした。合格者を前年並みに出しているのでA、Bともに倍率が下がっています。しかし答案採点の感触ではチャレンジ層が減っているようで、受験生が絞り込まれた入試だったようです。今年は東大合格者数が6→12名と倍増しています。

中央大学附属
逗子開成

逗子開成(逗子市)は難関国立大学合格実績の大躍進で、前年入試ではすべての回で応募者が急増し倍率・難易度とも上昇しました。2015年入試では反動でチャレンジ層に敬遠され応募者が減る可能性もありましたが、なんと1次603→603名、2次522→522名と両方とも前年とぴったり同数となり、偶然とはいえ作ったような数字になりました。3次は6%減ですが、全体的には入試状況に変化はなく、前年からの好調を維持していると言ってよいでしょう。

鎌倉学園(鎌倉市)は建長寺に隣接する臨済宗系の仏教主義の男子校で、現在校舎のリニューアル工事中です。2月1日午後に算数1科目入試を定員15名で新設し、3次の定員が40→25名に減員されました。新設の算数入試は応募者が183名、受験者174名、合格者54名で倍率は3.2倍です。午前の逗子開成から回ってきた受験生が多かったものと思われます。1次、2次、3次は応募者がやや減りましたが、ほぼ前年並みの入試状況でした。

中央大学附属
法政大学第二

法政大学第二(川崎市中原区)の最寄り駅・武蔵小杉駅は横須賀線・湘南新宿ラインの新駅誕生と東横線の東京メトロ副都心線への乗り入れによってアクセスの利便性が格段に上がり、駅周辺は大規模再開発で高層マンションが林立、現在も建設中の高層マンションが何棟もあり、江東区豊洲と並ぶ人口急増地帯です。武蔵小杉の再開発に合わせて当校も大改革が進行中で、2016年4月の共学化(高校も同時共学化)へ向けて広大な武蔵小杉キャンパスの再開発・新校舎建設が進んでいます。すでに時計台棟は完成し共学1期生が入学する来春までに校舎部分が完成、全てが完成するのは2017年の予定です。今年の入試では共学化を意識して2回の入試日を2月6日から4日に前倒ししました。
1回の応募者は3%減ですが、受験者数はほとんど変わらず。上位校との併願者が増えているため合格者を増やしたので倍率は3.5→3.1倍に低下。
2回の応募者は18%減、受験者で22%減ですが、合格者を絞ったため逆に倍率は4.4→4.7倍に上がっています。
武蔵小杉のアクセスの向上で広域からの受験生も増えていますが、今年は地元川崎市内の受験生が増え、さらに1回・2回の連続受験者が増えています。
現在募集定員は175名で中1・中2は1クラス30名未満の7クラス編成ですが、2016年入試からは1クラス30名未満の少人数制は維持しつつ定員増の予定(県と協議中、多分200名ぐらいか)。また三鷹市の法政大学中と異なり男女別の定員を設けるとのことで、男女比は男子7:女子3あたりになりそうです。入試日、入試科目は変わりませんが、各教科の試験時間や配点などは未定です。
東横線沿線、JR南武線沿線、横浜市営地下鉄沿線などのほか、MARCH大の付属校がない東京城南部の東急沿線からも受験生が集まる可能性大で、間違いなく2016年の神奈川中学入試の台風の眼になるでしょう。また港北ニュータウンに移転して共学化した中央大学横浜と競合するのは必至で、どのような展開になるのか注目されます。

藤嶺学園藤沢(藤沢市)は2013年入試で応募総数が39%の大幅減でしたが、前年はやや回復し前年比12%の増加でした。今年は4回の入試すべてで応募者が10%以上の減少です。4回以外は合格者を絞って難易度は維持したようです。

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(2)女子校

まず上位校の応募状況から見ていきます。次の3校はいずれも横浜の山手の丘にある創立100年を超えるミッション校で神奈川女子御三家と呼ばれている学校です。3校とも入試日を2月1日から2日に移動しています。フェリス女学院と横浜共立学園の2校はプロテスタントミッション校ですが、カトリックミッション校の横浜雙葉は宗教的理由ではなく他の2校と入試日がずれることによる混乱を避けるための入試日移動です。

フェリス女学院 396→476名(120%) 2.0→2.1倍
横浜雙葉 187→285名(147%) 1.8→2.2倍
横浜共立 A 331→395名(119%) 1.9→2.0倍
B 468→635名(136%) 2.8→3.9倍
フェリス女学院
フェリス女学院

トップ校のフェリス女学院(横浜市中区)は女子学院と同じ明治3年(1870年)の設立で創立145年目の女子学院と並ぶ日本最古のプロテスタントミッション校です。
今年はミッションショックで応募者20%増ですが、前回のミッションショック(2009年)では14%増の522名でしたから相当な増加率です。
この増加はもちろんミッションショックが主な要因ですが、ここ数年多少上下しながらも応募者数の減少傾向が続いており、前年に466→396名と大きく減った反動もあるでしょう。また前年春の大学合格実績の回復(東大10→15名、京大1→3名、国公立大計76→90名、早慶上智大184→235名など)の影響もあったものと思われます。
なお在籍生に占める都内生の割合は全学年合わせて12%で、都内からの受験生もかなりいますが、逆に豊島岡女子などの都内の有力校を併願する受験生が増えているようです。
合格者を192→200名とやや増やしたためか、繰り上げは前年の20名前後から10名前後に減っているようです。難易度は変わっていないでしょう。
なお、今年は東大合格者数が15→7名と半減しています。

3校中唯一のカトリックミッション校の横浜雙葉(横浜市中区)は明治33年(1900年)の設立で創立115年目の学校です。併設小学校から約90名が進学してくるため中学からの募集が90名と非常に少ない学校です。
応募者は昨年まで4年連続の減少で前年は200名を切りましたが、今年は187→285名と47%の大幅増です。前回のミッションショック(2009年)では12%増の253名でしたから増加率の大幅アップです。これはミッションショックのほか、ここ数年の応募者減、難易度緩和による受験しやすさなども応募者大幅増の要因でしょう。
ただし入試日が2日になって欠席者が10→26名と増えて受験者は184→259名と41%増です。合格者を102→119名と増やしていますが、倍率は1.8→2.2倍と上昇しました。

横浜共立学園(横浜市中区)は明治4年(1871年)の設立で創立144年目のプロテスタントミッション校です。Aは前年応募者が10%減でしたが今年は19%増です。前回のミッションショック(2009年)では10%増の522名でしたから増加率がかなり上がっています。
Bの入試日は通常2月3日ですが、3日が日曜の年と1日が日曜でAが2日になる年は4日となります。そのため2012年以降3日→4日→3日→4日と毎年入試日が変わっています。前年は応募者が711→468名で34%減でしたが、今年は36%の大幅増です。合格者を75→79名と4名しか増やしていないので倍率は2.8→3.9倍と急上昇しています。
A,Bともに難易度は変わっていないようです。

次にこの3校に続くレベルの学校の入試状況を見ていきます(帰国入試を除く)。

鎌倉女学院 1次 508→376名(73%) 1.7→1.4倍
2次 515→431名(82%) 2.9→1.9倍
湘南白百合学園 220→225名(102%) 1.5→1.6倍
洗足学園 1回 312→440名(141%) 2.8→2.8倍
2回 583→477名(82%) 3.0→3.6倍
3回 593→614名(104%) 5.9→5.5倍
日本女子大附 1回 230→265名(115%) 2.2→2.3倍
2回 364→365名(100%) 3.3→2.9倍

この4校のうち前2校はフェリス女学院などの神奈川女子との併願者が多いため2日から1日に入試日を移動しています。

鎌倉女学院
鎌倉女学院
鎌倉女学院(鎌倉市)は創立111年目を迎えた古都鎌倉の伝統校です。ミッションショックの年は、併願者の多いフェリス女学院、横浜共立学園、横浜雙葉の2月2日への入試日移動を避けて1次を2月2日→1日に変えます。応募者が減るのが通例で、今年の1次の応募者は508→376名と27%の大幅減となりました。前回のミッションショック(2009年)も26%減でしたが、受験者数で比較すると484→376名と100名以上少なくなっています。フェリス女学院などとの1日の併願校として鎌倉女学院1次ではなく洗足学園や?友学園女子などを選んだ受験生が増えているためと思われます。
2次の応募者も515→431名と18%減で、どちらも倍率がかなり下がり、難易度も緩和しています。

江の島を望む高台のカトリックミッション校の湘南白百合(藤沢市)も鎌倉女学院と同様な事情で入試日を2月1日に変えました。併設小学校から約100名が進学してくるため、中学からの募集は一般生60名(帰国生5~10名)と非常に少ないのですが、応募者は例年200名台です。ここ数年応募者数に隔年現象が見られ、前年は23%減でしたが今年は2%増でした。即日発表にした影響があったようです。前回のミッションショック(2009年)では20%以上の減で今回は2%増ですから、かなり校風が異なりますが鎌倉女学院から回った受験生もいたのでしょう。当然受験者層も上がっています。また手続き率が10%以上高くなり、前年は14名の追加合格を出しましたが、今年は2名で打ち止めとなりました。

洗足学園
洗足学園

洗足学園(川崎市高津区)は2015年入試で1日の1回の定員を80→100名と増員し、2日の2回の定員を100→80名と減員しました。これによって応募者は2月1日の1回が41%増、2日の2回は18%減、4日の3回は4%増となりました。これはもちろんミッションショックによるものですが、1回の大幅増(午後入試を除き)は?友学園女子や吉祥女子などの女子御三家やフェリス女学院に次ぐポジションの女子校に特有の現象です。併願校もフェリス女学院が多いのは今までと変わりませんが、女子学院や桜蔭などの東京の難関校が増えています。3回すべてに出願した受験生が昨年より30名多く志望順位が高い受験生が増えているようで、さらに手続き状況から見ても、女子学院、フェリス女学院との併願者が多い1回の手続き率を前年の2回の比較で37→50%、2回の手続き率も前年の1回との比較で77→85%に上昇しています。したがって入試の難易度は変わっていませんが、入学生の学力レベルは上がっているものと思われます。

日本女子大附(川崎市生田区)は明治34年(1902年)に大学と高校(高等女学校)が同時に設立された創立113年目の日本最古の女子大附属です。昭和53(1978年)に文京区目白から現在地に移転しました。東京や神奈川の学校では例を見ない広大な森の中の学校です(タヌキもいます)。創立以来のリベラルな教育で知られ、理科教育にも定評があります(併設大は理学部のある唯一の私立女子大)。
女子大不人気や女子の共学志向などにより応募者減が続いていましたが、女子教育の良さや理科教育の充実、日本女子大の好調な就職状況などを積極的にアピールし、ここ数年少しずつ応募者を回復しています。
今年はミッションショックの年でもあり、2月1日の1回の応募者は15%増で3年連続の応募者増、受験者では16%増でした。3日の2回の応募者は模試の志望者数から減少が予測されていましたが、実際には前年プラス1名と前年並みで、受験者では9名増でした。
1回は2日に入試日を移動したミッション系上位校との併願者が増えて受験者層が上がっています。そのため合格者を99→110名と11名増やしましたが、倍率は2.2→2.3倍とわずかに上昇しましたが手続き率は下がっています。
2回は例年より再受験者が多く合格者を63→74名と11名増やし倍率3.3→2.9倍と下がっていますが、1回とは逆に手続き率は上がっています。
前年は繰り上げ合格がⅠ回14名、2回9名で計23名でしたが、今年は併願者が増えたのにもかかわらず1回のみで16名でした(2/18現在)。

(つづく)

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[次回予告] 「2015年中学入試速報第8弾―― 神奈川の私立中入試②――」

次回は今回に続き神奈川の女子中(後半)と共学校の2014年入試の状況をお伝えします。

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