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第168話「2020年首都圏 国立大学付属中学校・公立中高一貫校入試レポート(4)」

2020年6月30日

今回はシリーズ最終回で千葉と埼玉の公立中高一貫校の入試レポートです。また茨城県の公立中高一貫校が今年から3年間で10校開校されます。一貫校に改編対象の公立高校はほとんどが地域のトップ校で、茨城県内の私立中はもとより、隣接する千葉や埼玉の私立中にも影響がある可能性があります。
ここでは10校の開校スケジュールをお伝えします。なお主要大学合格実績については可能な限り2020年春のデータを掲載していますが、現時点で実績が未公表の学校は2019年春の実績を掲載しました。また合格者の人数は現浪の合計です。


①千葉の公立中高一貫校

千葉には県立の中高一貫校が2校と千葉市立の中高一貫校が1校、計3校の公立中高一貫校があります。現在は3校とも併設型の中高一貫校ですが、千葉市立稲毛高校附属中学校が2022年より中等教育学校に改編され校名変更されることが発表されています。

・県立千葉中学校(千葉市中央区)
県立千葉中学校 2008年(平成20年)に名門県立千葉高校を母体校として併設型中高一貫校として開校しました。県立千葉高校は首都圏でも有数の進学校で2020年の大学合格実績は卒業生316名で国公立大学が東大20名、京大9名、一橋大12名、東工大20名、千葉大42名、など計196名、そのうち医学部医学科は23名、また早慶上理は438名、GMARCHは315名でした。近年は渋谷教育学園幕張の追い上げで東大合格数で抜かれていますが、この3年間の国公立大合格者数が153→183→196名と復調してきています。なお大学合格実績の人数の中学入学生と高校入学生の内訳は公表されていません。中学校の募集定員は男女各40名、計80名で高校からの外部募集の定員は240名です。入試は2段階選抜で、12月の1次検査が適性検査1・2、2次検査は適性検査1・2とグループ面接です。1次で募集定員の4倍程度に絞り、2次で最終合格者が決まります。2020年入試の1次の応募者は男子が372→364名と2%減、女子は前年の9%減の反動か305→358名と17%増の大幅増でした。倍率は1次の男子が2.3→2.1倍とやや低下、女子は1.9→2.0倍と上昇しています。相当数の繰りあげが出ています。例年の主な併願校は、千葉大学附、渋谷教育学園幕張、市川、東邦大附東邦、昭和秀英、開成、麻布、桜蔭、浦和明の星女子などです。
・県立東葛飾中学校(柏市)
2016年(平成28年)に県立東葛飾高校を母体校として併設型中高一貫校として開校しました。高校の2020年の大学進学実績は卒業生359名で、国公立大が東大4名、京大3名、一橋大1名、東工大8名、筑波大27名、千葉大25名など113名、早慶上理が261名、GMARCHは266名でした。入試は2段階選抜で2次選抜は適性検査1・2、聞き取り・プレゼンとグループ面接、その他は県立千葉中と同じです。2020年入試の1次の応募者は男子が474→449名と5%減、女子は前年の9%減に続き453→416名と8%減でした。倍率は1次の男子2.9→2.5倍、女子も2.8→2.4倍と低下しました。相当数の繰りあげが出ています。
併願校の顔ぶれは県立千葉中と重なりますが、専修大学松戸、芝浦工業大柏、江戸川学園取手などJR常磐線沿線の学校が多いようです。
・ 千葉私立稲毛高校附属中学校(千葉市美浜区)
千葉私立稲毛高校附属中学校 2007年(平成19年)に千葉私立稲毛高校を母体校として併設型中高一貫校として開校しました。2020年の大学合格実績は卒業生309名で国公立大学が東大1名、東北大3名、千葉大12名、国際教養大3名など計37名、早慶上理は80名、GMARCHは282名でした。中学校の募集定員は男女各40名、計80名です。高校の外部からの募集定員は普通科が200名、国際教養科が40名、計240名です。入試は報告者、適性検査Ⅰ・Ⅱと面接による選考です。2020年入試の応募者は男子が287→280名と2%減、女子は2018年、2019年と大きく応募者が減った反動か316→371名と17%増の大幅増でした。倍率は男子が6.7倍と変わらず、女子は7.4→9.0倍と大きく上昇しています。
なお先述のように2022年より中学の定員が増員され高校募集は減員され、2025年には併設型から中等教育学校への移行が完成します。高校の国際教養学科は廃止になります。

②埼玉の公立中高一貫校

埼玉には県立の中高一貫校が1校、さいたま市立が2校、計3校の公立中高一貫校があります。さいたま市立のうち1校は中等教育学校で、他の2校は併設型です。なお来春に川口市立高校附属中学校が開校し公立中高一貫校が4校になります。

・県立伊奈学園中学校(北足立郡伊奈町)
本校は全国初の公立中高一貫校として2003年(平成15年)に県立伊奈学園高校を母体校として併設型中高一貫校として開校しました。母体校の県立伊奈学園高校は1984年(昭和59年)に開校した新しい学校で、15.5万㎡の敷地に通常の公立高校の3校分の1学年800名、教職員200名という大規模校で全国初の総合選択制の普通科高校です。2020年の大学合格実績は卒業生772名で、国公立大が東大2名、京大1名、一橋大1名、北大1名、東北大5名、筑波大4名、埼玉大6名など計48名、早慶上理は41名、GMARCHは154名でした。中学校の募集定員は男女別の定員はなく男女合わせて80名で、高校の募集の定員は併設中学からの進学者を含めて800名です。入試は2段階選抜で1次が作文で200名前後に絞られ、2次が面接による選考で最終合格者80名が決まります。作文は自由作文ではなく他校の適性検査の記述問題のような出題です。2020年入試の応募者は1次が371→410名と11%増で、倍率は2.0→2.2倍と上昇しています。2019年入試のさいたま市立浦和の応募者増加と開校初年度の大宮国際の倍率を見て本校に回ってきた受検生もかなりいた可能性があります。
・ さいたま市立浦和中学校(さいたま市浦和区)
さいたま市立浦和中学校 2007年(平成19年)にさいたま市立浦和高校を母体校として併設型中高一貫校として開校しました。2019年の内進生のみの大学合格実績は国公立大が東大4名、東北大3名、阪大1名、九大1名、東工大2名、東京外語大2名、筑波大8名など32名、早慶上理は64名、GMARCHは79名でした。中学校の募集定員は男女各40名で計80名、高校の外部からの募集定員は併設中学からの進学者を含めて320名です。学区はさいたま市内で学区外枠はありません。入試は2段階選抜で1次が適性検査Ⅰ・Ⅱで男女各100名程度に絞り(実際には大宮国際との併願者を想定してかなり多めに出しています)、2次は適性検査Ⅲ(作文)で最終の合格者が決定します。2019年入試では新設の市立大宮国際中等教育学校との併願者が増えて応募者が急増しました。併願者の抜けを考えて1次合格者を男女ともに100→105名に増やしましたが、男子が2.3→2.8倍と上昇、女子は2.5→3.6倍と大きく上昇しました。2020年入試の応募者は前年の反動で男子が6%減、女子は15%減となったことに加え、2019年入試で1次合格者の大宮国際への抜けが想定以上に多かったためか1次合格者を男女とも105→120名に増やしたこともあって、1次の倍率は男子が2.8→2.4倍、女子は3.6→2.7倍と大きく下がりました。しかし2次受検者が増えたために2次の倍率は男子が1.9→2.1倍、女子は1.7→2.1倍と上昇しています。
・さいたま市立大宮国際中等教育学校(さいたま市大宮区)
さいたま市立大宮西高校を母体校として2019年に開校したさいたま市で2校目の中高一貫校で、県内では初の中等教育学校です。この3月に大宮西高校の最後の学年が卒業したので現在は1・2年生しかいません。校名の通り国際交流や国際理解教育また英語教育を重視したプログラムを取り入れ、充実したITC施設、2クラス3展開の少人数教育、国際バカロレア導入(予定)、4年次のアメリカフィールドワーク、ピッツバーグ大学でのサマープログラムと先端的な教育が行われます。また5・6年次はグローバルコース、リベラルアーツコース、STEMコースに分かれる予定です。前期課程(中学校に相当)の募集定員は男女各80名、計160名で後期課程(高校に相当)からの募集はなく完全中高一貫教育校です。学区はさいたま市内で学区外枠はありません。入試は2段階選抜で1次は市立浦和中との併願が可能ですが2次は同日のため併願できません。一般選抜の1次は適性検査A・Bで、2次は適性検査Cと集団面接です。適性検査の一般AとCで英語の問題や日本語または英語で答える問題があります。英語の出題レベルはさいたま市内のすべての公立小学校で学習するグローバルスタディ(英語)から習ったことから出ます。特別選抜の募集は定員の10%程度で1次は適性検査Dと面接、2次は適性検査Eと集団面接で選考されます。一般選抜、特別選抜と合わせて1次で男女各200名程度に絞り、2次で最終合格が決まります。開校初年度は大人気となり1000名を超える応募者がありましたが、公立一貫校の初年度入試にありがちの何の準備もしていない受検生もかなりいたようです。開校2年目の2020年入試の応募者は444→302名と32%減、女子も566→400名と29%の大幅減とかなり落ち着いた入試となりました。1次の倍率は1次合格者を男女ともに240→200名に減らしていますが、男子が1.8→1.5倍、女子は2.3→2.0倍と低下しました。
・川口市立高校附属中学校(川口市)
2018年に市立川口総合高校、市立川口高校、市立県陽高校の3校が統合されて市立川口総合高校の跡地に開校した川口市立高校の付属中学校として2021年4月に開校します。
併設型の中高一貫校で中学校の募集定員は80名、市教委の構想では大学進学率95%、国公立大40名(50%)の大学合格実績を目標としています。また英語教育ではTOEFLの導入を予定し、中3で英検準2級の取得を目指しています。入試は2段階選抜で1次が1/16、2次は1/23で、適性検査と面接による選考です。学校のHPに適性検査のサンプル問題が掲載されています。川口市はかつて鋳物工場の町として知られていましたが、90年代以半ば以降高層マンションが林立する東京のベッドタウンになっています。私立中受験生の多い地域ですから相当な人数の応募者が集まる可能性があります。
*茨城県の公立中高一貫校の開校スケジュール
茨城県には、
  • ・県立古河中等教育学校(古河市)
  • ・県立並木中等教育学校(つくば市)
  • ・県立日立第一高校附属中(日立市)
の3校の公立中高一貫校がありましたが、今年の4月に5校、さらに2021年、2022年に順次計5校の公立一貫校が開校していきます。
2020年
  • ・県立太田第一高校附属中学校(日立太田市)
  • ・県立鉾田第一高校附属中学校(鉾田市)
  • ・県立鹿島高校附属中学校(鹿嶋市)
  • ・県立竜ヶ崎第一高校附属中学校(龍ヶ崎市)
  • ・県立下館第一高校附属(筑西市)
2021年
  • ・県立水戸第一高校附属中(水戸市)
  • ・県立土浦第一高校付属中(土浦市)
  • ・県立勝田中等教育学校(ひたちなか市)
2022年
  • ・下妻第一高校附属中(下妻市)
  • ・県立水海道高校附属中(常総市)

(おわり)


〔次回予告〕「2020年 首都圏中学入試をふりかえって」

いままで各地域の国公立・私立中学の学校別の入試状況を男子校・女子校・共学校、大学付属校・進学校と校種別に見てきましたが、次回は2020年入試の全体的な動向について考えて見ます。

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