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第167話「2020年首都圏 国立大学付属中学校・公立中高一貫校入試レポート(3)」

2020年6月30日

今回は公立中高一貫校入試レポートの続きで、東京の残り3校と神奈川の5校のレポートです。なお主要大学合格実績については可能な限り2020年春のデータを掲載していますが、現時点で実績が未公表の学校は2019年春の実績を掲載しました。また合格者の人数は現浪の合計です。


②東京の公立中高一貫校(その2)

・都立立川国際中等教育学校(立川市)
旧第8学区で都立立川高校につぐ2番手校だった都立北多摩高校を母体校として2008年に都立中等教育学校として開校しました。開校当初より海外帰国・在京外国人枠を設けています。2年次で英語合宿、3・4年次には希望制の米国エンパワーメントプログラム、5年次では全員参加のオーストラリア海外研修旅行を行っています。前期課程(中学校に相当)の募集定員は海外帰国・在京外国人枠が男女合わせて30名、一般枠は男女各65名で計130名です。入試は1月の海外帰国・在京外国人枠が作文(日本語または英語)と面接(日本語または英語、パーソナルプレゼンを含む)、一般枠は報告書と適性検査Ⅰ・Ⅱで、報告書が200点、適性検査が800点で計1000点満点です。2020年入試の応募者は海外帰国・在京外国人枠が64名で倍率は2.1倍でした。一般枠の応募者は男子が259→252名と3%減、女子は349→403名と15%増で、倍率は男子が3.9→3.7倍とやや低下、女子は5.2→6.0倍と上昇しています。海外帰国・在京外国人枠の合格者は30名中29名が手続をとっていますが、一般枠の合格者130名中5名(男子3名、女子2名)が未手続きでしたから少なくても6名の繰り上げがあったはずです。なお2022年4月に併設の小学校が開校し全国初の小中高一貫教育が始まります。まだ先の話ですが小学校の募集定員は80名ですから、中等教育学校に1期生が進学してくる2028年からは前期課程の募集定員が160→80名に減員されます。
・都立南多摩中等教育学校(八王子市)
南多摩 旧7学区で都立町田高校と並び都立八王子東高校につぐ2番手校だった都立南多摩高校を母体校として2010年に都立中等教育学校として開校しました。2020年春の大学合格実績は卒業生137名で、東大3名、京大2名、一橋大4名、東工大5名など国公立大学が76名、私大は現役のみですが早慶上理が67名、MARCHは146名でした。前期課程(中学校に相当)の募集定員は男女各80名、計160名で、後期課程(高校に相当)からの外部募集のない完全中高一貫教育校です。入試は報告書と適性検査Ⅰ・Ⅱによる選考で、報告書が200点、適性検査が800点、計1000点満点です。2020年入試の応募者は男子が420→400名と5%減、女子も489→463名と5%減でした。倍率は男子が5.0→4.9倍とわずかに低下、女子は6.1→5.7倍と低下しています。合格者160名中3名(男子2名、女子1名)が未手続きでしたから少なくても3名の繰り上げがあったはずです。
・千代田区立九段中等教育学校(千代田区)
都立九段高校が東京都から千代田区に移管され、区立九段中学と統合して2006年(平成18年)に都内唯一の区立の中等教育学校として開校しました。周辺には暁星、白百合学園、和洋九段女子、三輪田学園、法政大学などがある文教地区です。2011年には校舎が全面リニューアルされました。2020年春の卒業生は146名で大学合格実績は東大4名、京大1名、一橋大3名、東工大3名など国公立大が計61名、早慶上理が95名、GMARCHは160名でした。千代田区立のため前期課程(中学校に相当)の募集は区内枠のA区分と区外枠のB区分が別枠で、定員はA区分・B区分とも男女各40名の80名の計160名です。後期課程(高校に相当)からの募集はなく完全中高一貫教育校です。入試は報告書と適性検査Ⅰ・Ⅱによる選考で、報告書が200点、適性検査が800点、計1000点満点です。2020年入試の応募者はA区分の男子が96→97名と1名増、女子は87→95名と8名増、B区分の男子が227→232名と5名増、女子は328→309名と19名減でした。倍率はA区分の男子が2.2→2.3倍、女子も2.1→2.2倍と男女ともにわずかに上昇、B区分の男子は5.3→5.5倍とやや上昇、女子は7.5→7.3倍と低下しています。手続き人数と繰り上げ状況は非公表です。なおA区分とB区分は応募者数と倍率が大きく異なるためB区分の難易度の方がかなり高くなっています。
※併設型中高一貫校の高校募集停止について
以下の都立の併設型中高一貫校5校の高校募集が順次停止となります。
・2021年 都立武蔵高校、都立富士高校
・2022年 都立両国高校、都立大泉高校
また都立白鷗高校は校舎・施設の関係で実施時期は決まっていませんが2021年以降に高校募集が停止されます。また高校募集停止に伴いこの5校は中学の募集定員が増員されることが決まっています。具体的な増員人数はまだ公表されていませんが、おそらく1クラス40名の増員でしょう。上記の5校は完全中高一貫校化によって今後人気が上がる可能性がありそうです。

③神奈川の公立中高一貫校

神奈川の公立中高一貫校は県立が2校、横浜市立が2校、川崎市立が1校の計5校です。
また県立の2校は中等教育学校で他の3校は併設型一貫校です。

・県立相模原中等教育学校(相模原市南区)
相模原 2009年(平成21年)に旧相模原南部学区のトップ校県立相模大野高校を母体校として神奈川初の公立中高一貫校として開校しました。この年に県立平塚中等教育学校も同時開校しています。県内の中学入試の中心エリアからは少しはずれたところにありますが、非常に人気の高い学校です。2019年春の卒業生は147名で大学合格実績は東大3名(2020年春は5名)、京大1名、一橋大1名、東工大4名、北大4名、東北大4名など国公立大が70名、早慶上理が81名、GMARCHは145名でした。前期課程(中学校に相当)の募集定員は男女各80名、計160名で、後期課程(高校に相当)からの外部募集のない完全中高一貫教育校です。入試はグループ活動と適性検査Ⅰ・Ⅱによる選考です。2020年入試の応募者は男子が587→550名と6%減、女子は2年連続の8.2倍という高倍率で敬遠されたのか688→595名と14%の大幅減でした。倍率は男子が7.1→6.7倍、女子も8.2→7.1倍と低下しています。過去にも応募者の増減、倍率の上下がありましたが、開校して3年目以降は入学者のレベルはほとんど変わっていないそうです。併願の私立中は近くの桐光学園、桐蔭学園、神奈川大附などが多いのはもちろんですが、開成、渋谷教育学園幕張、渋谷教育学園渋谷、栄光学園、聖光学院、フェリス女学院、洗足学園、横浜共立など東京・神奈川・千葉のトップ校と併願している受検生もかなりいます。
・県立平塚中等教育学校(平塚市)
※募集定員と入試の選考方法は県立相模原中等教育学校と同じなので、県立相模原中等教育学校の該当部分を見てください。
2009年(平成21年)に地域で中堅レベルだった県立大原高校を母体校として中等教育学校として開校しました。2020年春の大学合格実績は東大1名、京大1名、東工大1名、北大4名、東北大1名など国公立大が46名、早慶上理が69名、GMARCHは113名です。2020年入試の応募者は男子が396→409名と3%増、女子は438→441名と1%増でした。倍率は男子が4.8→5.0倍とやや上昇、女子は5.4→5.3倍とわずかに低下です。
・横浜市立南高校附属中学校(横浜市南区)
南 2012年(平成24年)に旧横浜南部学区の2番手校だった横浜市立南高校を母体校として併設型の中高一貫教育校として開校しました。2020年春の卒業生は193名で大学合格実績は東大7名、東工大7名、一橋大3名、横浜国大15名など78名、早慶上理が124名、GMARCHは222名、海外大学8名など県内公立中高一貫校ではトップの実績です。中学校の募集定員は男女各約80名で計160名(ただし1次選考で男女各70名を合格とした後残りの20名は男女の区別なく点数順に合格とします)、高校の外部募集の定員は38名です。横浜市内が学区ですが学区外枠が30%まで認められています。入試は適性検査Ⅰ・Ⅱと調査書による選考です。2020年入試の応募者は男子が348→328名と6%減、女子は473→499名と5%増でした。倍率は男子の欠席者が18→16名と2名減で合格者も76→71名と減らして4.3→4.5倍とやや上昇、女子は欠席者が22→31名と9名増で合格者を84→89名と5名増やしたため5.4→5.3倍とわずかに低下です。合格者160名のうち学区外で合格した受検生は26名(16%)でした。併願の私立中は近くの山手学院、鎌倉学園、逗子開成、鎌倉女学院、湘南白百合学園などが多いのはもちろんですが、麻布、渋谷教育渋谷、栄光学園、聖光学院、フェリス女学院、洗足学園、横浜共立など東京・神奈川のトップ校と併願している受検生もかなりいます。
・横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校附属中学校(横浜市鶴見区)
2009年(平成21年)に横浜市立鶴見工業高校の跡地に横浜開港150周年記念事業として設立予算94億円で横浜市により横浜サイエンスフロンティア高校(YSFH)が開校し、2017年に附属中学校が開校しました。高校は理系教育に特化した理数科の学校で、最先端の設備の理科の実習室・実験室が20教室のほか、天体観測ドームなど超高校級の施設を誇り、理化学研究所や横浜市立大学などと提携をしています。また国内外のトップクラスの科学者5名がスーパーアドバイザーとして生徒指導に当たっています。過去のスーパーアドバイザーにはノーベル物理学賞受章者の小柴昌俊先生、現在はノーベル物理学賞を受章した小林誠先生などがいます。また文科省からSSH、SGHに指定されており、横浜市の進学指導重点校にも指定されています。中学校の募集定員は男女各40名で計80名、高校からの外部募集の定員は1期生の後期課程への進学により80名減員されて158名になりました。高校は全県から受検できますが、中学校は横浜市内が学区で学区外枠はありません。入試は報告書と適性検査Ⅰ・Ⅱによる選考です。2020年入試の応募者は男子が301→276名と8%減、女子は216→209名と3%減でした。倍率は男子が7.1→6.6倍、女子も5.1→5.0倍と下がっています。人数は非公表ですが若干名の繰り上げがあったようです。主な併願校は麻布、栄光学園、世田谷学園、洗足学園、横浜共立などです。
・川崎市立川崎高校附属中学校(川崎市川崎区)
川崎 2014年(平成26年)に川崎市立川崎高校を母体校として開校した併設型中高一貫校です。高校は普通科の他に生活科学科と福祉科、および定時制を併設しています。中学校の開校に際して新築された校舎は教科センター方式で生活空間と学習空間が分離しており、生徒は毎時間授業のある教室に移動します。2020年3月に中学1期生が卒業し、国公立大は東大1名、一橋大2名、筑波大1名、東京外語大3名、横浜国大3名など計24名、早慶上理は42名、GMARCHは72名と過去最高の大学合格実績(現役のみ)でした。国公立大や難関私大の実績はほとんど中学1期生のものと思われます。中学校の募集定員は120名で男女別の定員はなく、高校からの募集定員は普通科が38名、生活科学科と福祉科はそれぞれ39名です。入試は報告書と適性検査1・2による選考です。2020年入試の応募者は519→492名と5%減で、倍率は4.2→4.0倍とやや低下しました。入試データは全て男女合わせた数字です。なお2021年より高校の定時制と高校の普通科の募集が停止されます。普通科の募集停止は中学からの入学生と高校からの入学者の学力格差が著しいためとのことです。都立の併設型中高一貫校の高校募集停止の決定を見ての判断でしょう。これにより中学の募集定員の増員がある可能性もありますが、今のところ川崎市教委からは何の発表もされていません。中学からの入学生にとっては完全中高一貫教育になるので2021年入試では人気が上がる可能性が高く要注意です。

(つづく)


〔次回予告〕2020年首都圏 国立大学付属中学校・公立中高一貫校入試レポート(4)

次回はこのシリーズの最終回で、千葉と埼玉の公立中高一貫校の入試レポートです。また今春から始まった茨城の公立中高一貫校の一挙10校開校の動向についてもお伝えします。

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