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第164話「2020年度東京・神奈川私立中学校入試速報(11)」

2020年4月14日

②神奈川の共学校(その2)

・山手学院(横浜市栄区)
山手学院神奈川の地場企業を代表する有隣堂書店の創業家によって1966年(昭和41年)に男子校として開校しました。開校3年目の1969に共学化し同時に全員参加のアメリカ研修旅行を開始したグローバル教育の老舗中の老舗校です。中学校の募集定員は200名、高校の外部募集の定員は170名です。男女別定員はなく、合否判定は男女同一基準です。中学の入試は2018年入試に2/1午後入試が導入されて562名の応募者を集めました。これにより2/1のA日程(2科・4科)、2/1午後の特別選抜(2科)、2/2午後のB日程(2科)、2/6の後期日程(2科・4科)の4回入試になりました。
2019年入試では応募総数が1951→2598名と33%の大幅増でしたが、2020年入試は前年の反動で4回すべての応募者が減って延べ応募者数が2598→2446名と6%減になりました。しかし2019年の入学者が40名以上超過したため後期日程を除き合格者が絞られ、倍率はA日程が2.4→2.7倍、特別選抜が1.7→2.0倍、B日程が2.4→3.4倍と上昇しています。合格最低点はA日程の2科が118/200、4科は214/360、特別選抜は特待合格が153/200、一般合格は115/200、B日程は113/200、後期日程は2科が134/200、4科が240/360でした。特待合格が40名出ています。
・桐蔭学園(横浜市緑区)
1964年(昭和39年)に高校(男子校)が開校し、2年後の1966年には中学校(男子校)が開校し、1981年には女子部が開設され別学校になりました。難関大合格実績が大きく伸びて1980年代末には東大合格者ベスト10の常連校になり、1990年には合格者数が102名と3桁の大台に乗り全国順位も3位に躍進しましたが、その後は徐々に実績の低下が続きこの20数年は東大合格実績や難関大学実績については見る影もなくなっていました。かつて高い評価を得ていた桐蔭の教育システムとそれを可能にしていた学校規模が時代に合わなくなってきたのか、進路実績だけでなく入口の中学入試・高校入試についても応募者が激減し倍率も低下、入学者のレベルも大きく低下しました。危機感を持った学園は卒業生でもある岡田直哉先生をリーダーとする改革のプロジェクトを立ち上げ学校の在り方、教育の在り方について抜本的な見直しを行い、大胆なダウンサイジングを含む組織改革、教育システム、授業方法の改革や入試改革の基本方針をまとめ、岡田先生自身が校長に就任して指揮官として大改革を推進しています。改革のポイントは、
「男子部・女子部からなる別学校」から「共学校」へ移行
中学からの入学者は中等教育学校に一本化(桐蔭学園中学校は募集停止)・高校入学生は中等教育学校とは3年間クラスは別。
授業はアクティブラーニング型授業に転換。
アクティブラーニングの第一人者である京都大学教授の溝上慎一先生を週2日招いて教育顧問として徹底的な教員研修がおこなわれました。溝上先生は京大教授を48歳で退職して2019年より桐蔭学園理事長に、2020年より桐蔭横浜大学学長に就任しています。
2018年入試よりの高校改革がスタート、2019年から中学・中等教育の改革が始動しました。中等教育学校の募集定員は帰国入試の20名を含めて225名で、併設小学校からの内部進学者と合わせ、2019年の中1は270名でした。入試は2/1の1回午前、1回午後、2/2の2回、2/3の3回の4回入試です。2020年入試では応募総数が1149→1040名と9%減、倍率は1回午前が3.3→2.2倍、1回午後が4.0→1.7倍と低下、2回は3.0→3.0倍と変わらず、3回は合格者が絞られて3.1→5.1倍と大きく上昇しています。
・森村学園(横浜市緑区)
森村学園1910年(明治43年)に幕末・明治に日米貿易の活躍した実業家の森村市左衛門によって東京の高輪の自宅で創立された幼稚園と小学校が前身です。開校時から英語科やピアノ科を設置する斬新でユニークな教育を行っていました。その後さまざまな経緯がありましたが1978年に現在地(横浜市緑区長津田)に移転、それと同時に男子部・女子部の別学から共学化しました。1997年には中等部・高等部を統合し、教員組織や教育体制も一体化し、さらに進学校化に向けて大きく舵を切りました。以前は富裕層の子供が通う大学進学にはこだわらないユニークな学校というイメージでしたが、現在では難関大学や医学部への実績も伸びている中堅進学校としての評価が確立してきています。2019年4月に大阪のアサンプション国際中高校長(旧聖母被昇天学院中高)からきた江川昭夫校長は以前都内の私立中高の教頭だった時に「21世紀型教育機構」の立ち上げメンバーでした。
中学校の募集定員は90名と少数募集の学校で、併設の森村学園小学校からの内部進学者と合わせて1学年が200名前後、高校からの募集がない完全中高一貫校です。入試は2科・4科選択入試の2/1の1回、2/2の2回と4科入試の2/4の3回の3回入試です。男女別の定員はなく、合否判定は男女同一基準です。2019年入試では応募総数が583→590名と微増でしたが2020年入試では応募総数が590→502名と15%の大幅減となりました。
倍率は1回が2.1→2.1倍と変わっていませんが、2回と3回は合格者が絞られて、2回は2.6→2.7倍とやや上昇、3回は3.2→4.0倍と上昇しています。応募者減の要因は、男子が桐光学園、女子は日本女子大との競合が一因となっていそうです。
・青山学院横浜英和(横浜市南区)
1880年(明治13年)にアメリカ人宣教師によって横浜山手の丘で設立されたブリテンスクールを前身とするプロテスタントミッション校で、1886年に横浜英和女学院と校名変更。1916年に現在地(横浜市南区蒔田の高台、戦国時代の蒔田城跡)に移転しました。2014年に本校と同じ米国メソジスト派の青山学院大学と系属校契約を締結、2016年には現校名になり、2018年に共学化し大人気となったのは良く知られている通りです。中学の入試は募集定員が160名で併設の青山学院横浜英和小学校からの内部進学者と合わせて1学年が180名前後です(ただし現中2は入学者が超過して200名越え)。
入試は2/1のA日程、2/2午後のB日程、2/3午後のC日程の3回入試ですべて4科入試です。2020年入試より帰国入試以外の面接は廃止されました。系属校化、共学で応募者が急増し、入試レベルが急上昇しましたが、敬遠されているのか2019年入試から落ち着いてきました。2020年入試の応募者は総数で1587→1551名と2%減でした。難易度の変動はないでしょう。なお共学化以降も女子の応募者の方が多いのですが、今年は男子が436→487名と12%増、女子は1151→1064名と8%減でした。
・横浜富士見丘学園(横浜市旭区)
1923年(大正13年)に横浜市中区で設立された日の出女学校が前身。1924年に横浜市西区に移転、1932年に富士見丘高等女学校と校名変更。2007年に現在地(横浜市旭区の県立中沢高校跡地)に移転し「中等教育学校」となりましたが、2018年に「中学校・高等学校」に戻っています。2019年に共学化、中学校では女子クラスと男子の理数特進クラスの別学スタイルです。東京理科大学と教育提携を結び理系教育にも力を入れています。中学校の募集定員は100名で、高校の外部募集の定員は135名です。
入試は2/5に6回が新設され1回から6回までと適性検査型入試、未来力入試の8回入試です。2020年入試の応募者は、新たな取り組みと積極的な広報活動によって307→667名と117%の大幅増となりました。特に男子は90→247名と174%増、女子は217→203名と6%減でした。入学者の男女比はほぼ半々です。
・鶴見大附(横浜市鶴見区)
鶴見大附1924年(大正13年)に設立された光華女学校と1925年に設立された鶴見高等女学校が統合して鶴見女子高校が開校。禅宗系(曹洞宗)の仏教主義学校です。学校は曹洞宗大本山総持寺の広大な境内に隣接して所在しています。2007年に鶴見大学の付属校となり、2009年に共学化されて現校名になりました。2009年に竣工した新校舎は欧米型の教科エリア・ホームベース型のユニークな校舎です。2015年に校長に就任した亀山仁先生は同じ宗派の東京の男子校、世田谷学園から来られた先生で、世田谷学園が学校改革によって急速に伸びた時期を広報担当者として身をもって体験した経験を生かして、鶴見大附を進学校への転換させる学校改革を強力に推し進めています。中学校の募集定員は140名で高校の外部募集の定員は90名です。入試は進学クラス入試が2回、難関進学クラス入試が3回、適性検査型入試が1回の計6回です。学校改革が軌道に乗ってきた2018年入試の応募者が723→1025名と42%の大幅増となりました。この入試状況の激変により従来の受験していた層に敬遠されているようで、2019年、2020年入試の応募者は1025→945→862名と2年連続の減少となりました。なお難関進学クラス入試で難関から進学へのスライド合格が合計17名出ています。
・横浜翠陵(横浜市緑区)
1985年に横浜国際女学院翠陵高校が開校しました。国際都市横浜にふさわしく開校時より国際教育、英語教育に特化した学校で、アメリカ、中国、メキシコの姉妹校との交換留学などによって国際色が豊かな学校でした。1999年には中学校が開校しています。2011年に共学化し、横浜翠陵と校名変更し、2016年に6年一貫のグローバル・チャレンジクラスがスタートしています。中学校の募集定員は90名、高校の外部からの募集定員は120名です。中学の入試は2科・4科選択入試と英語型入試の5回、適性検査型入試が1回で計6回です。男女別の定員はなく合否判定も男女同一基準です。以前は受験者数の増減にかかわらず事前に定めた基準点で合否判定をしていましたが、近年合否判定方法が受験者数の増減を見てボーダーを決めるように変わっています。2020年入試の応募総数は354→324名と8%減でした。
・湘南学園(藤沢市)
湘南学園1933年(昭和8年)に個性尊重の自由教育を求める保護者と教師によって現在地(藤沢市鵠沼)に玉川学園の分園として創立されました。幼稚園、小学校からのスタートで1947年には中学校が開校しています。以前は地元鵠沼に別荘を持つ財界人などの富裕層の子供が集まる学校でしたが、現在は普通の家庭の子供がほとんどの学校です。中学校の募集定員は130名で、併設の湘南学園小学校からの内部進学者と合わせて1学年は200名前後で、高校の外部募集のない完全中高一貫校です。入試はA日程からD日程までの4回とESD入試の5回です。AとDが2科入試、BとCは4科入試です。2019年入試より新設されたESD入試とは、国連によって定められたSGDsにちなんだプレゼンテーションを動画撮影してUBSなどに収録して事前に提出し、論述、記述と合わせて判定するといういかにも現代的なユニークな入試です。2020年入試は前年の応募者急増(857→1077名、26%増)によってすべての入試回で敬遠され1077→841名と22%減になりました。倍率はESDとA、B、Cで低下していますが、Dは合格者が絞られて5.9→6.8倍と上昇しています。

(おわり)


〔次回予告〕2020年度首都圏国立大学付属中・公立中高一貫校入試レポート

今回で2020年首都圏の私立中学校の入試速報を終わります、次回からは首都圏の国立大付属中と公立中高一貫校の入試レポートです。

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