コラム「そうだったのか!中学入試」
トップページ > コラム「そうだったのか!中学入試」 > 第162話「2020年度東京・神奈川私立中学校入試速報(9)」

第162話「2020年度東京・神奈川私立中学校入試速報(9)」

2020年4月8日

①東京の共学校(その3)

・青稜(品川区)
1938年(昭和13年)に青蘭学院商業女学校として設立されました。1992年に中学校開校、1995年に現校名に変更し共学化し進学校への転換のための学校改革が始動し爆発的な人気となりました。その後東大、一橋大、東工大、早慶上理などの難関大学での大学合格実績が伸びています。中学校の募集定員は200名、高校の外部からの募集定員は130名です。入試は1月の帰国入試と一般入試が4回の計5回です。2019年入試では応募総数が1487→2262名と52%の大幅増でしたが、2020年入試はその反動で2262→2018名と11%減です。倍率も1回Aが3.5→3.0倍、1回Bは3.4→3.2倍、2回Aは6.6→4.7倍、2回Bは4.9→3.7倍と4回とも低下しています。昨年の繰り上げ合格は42名でしたが、今年の人数は現時点で不明です。なお今春より新制服になりました。
・目黒日本大学(目黒区)
1904年に高輪裁縫女学校として創立され戦後は日出高校・日出女子中学校となりました。かつては多くの芸能人が通う学校として知られていました。2019年入試では多くの日大系の学校が応募者を減らす中で、日本大学の系属校となって初の入試で応募総数が101→668名と大ブレーク。2020年入試でもさらに人気が上がり応募総数で584→797名と36%の大幅増となりました。倍率は1回が3.0倍、2回は3.9倍、3回は2.2倍、4回は3.5倍でした。
・武蔵野大学(西東京市)
武蔵野大学1904年(明治37年)に築地本願寺内で設立された仏教主義(浄土真宗)の学校です。1929年に現在地(西東京市新町)に移転しました。同じキャンパス内には併設の武蔵野大学もあります。大学は2004年に共学化されましたが、中学は2019年に共学化されました。中学校の募集定員は160名で、2020年より共学化される高校の外部募集の定員は250名です。2014年には大阪府の公募に応じて36歳という若さで大阪府立箕面高校の校長に就任し、徹底的な学校改革によって中堅の箕面高校から海外大学への進学者を出すまでにした日野田直彦先生が2018年に本校の校長に就任されました。共学初年度の2019年入試では応募総数が174→531名と205%増、共学2年目の2020年入試の応募総数は531→924名と74%増とさらに人気が上がっています。応募者の男女比は2:3でした。2/1午後の2回ではMARCH系の付属校との併願者が増えています。各回とも受験者平均点が高くなっており受験者層の上昇が見て取れます。また23区方面からの受験生が全体の25%から34%に増加し、杉並区が最多の地域になりました。
・桜美林(町田市)
桜美林アメリカのオベリン大学で学んだ牧師の清水安三先生によって中国北京の朝陽門外で設立された崇貞学園を前身とする学校です。清水先生は戦後帰国して現在地に桜美林中学高校を開校しました。創立者の信仰に基づくプロテスタント系のキリスト教主義学校です。同じキャンパス内には併設の桜美林大学もあります。中学校の募集定員は160名で、高校の外部募集の定員は190名です。2020年入試では2/1にくわえ2/2に総合学力評価入試(適性検査型入試)を新設しました。これで一般入試が4回、総合学力評価入試が2回で計6回の入試になりました。応募者数は男子が増えていますが女子は減って、応募総数では1900→1853名と2%減です。しかし実受験者では1129→1271名と12%増で、倍率は新設の2/2午前を除いてすべて上昇しています。ボーダーあたりでは厳しい入試になったようです。また男子の受験生が増えた結果、各回とも算数の平均点が上がっています。なお前日の入試結果を見てギリギリ(入試当日の朝8:00まで)で出願してくる受験生が増えているとのことです。
・八雲学園(目黒区)
1938年(昭和13年)に開校した学校で、開校時から英語教育を重視してきた学校です。戦後に英語教育が再開されると占領軍の将校婦人により英会話の授業が行われていました。またアメリカのカルフォルニア州サンタバーバラには学校の宿泊施設を所有して活用しています。2018年に共学化されました。入試は2科・4科選択入試が4回と、国・算・英から1科選択と自己表現文による未来発見入試の計5回の入試があり、男女別の定員はなく判定は男女同一基準です。2020年入試は共学3年目の入試で、未来発見入試が5名減員され2/1の1回が5名増員されています。応募者数は5回の合計で男子365→414名と13%増ですが、女子は587→530名と10%減で、総計では952→944名と微減でした。かつて女子校らしいイメージが強かったため、共学化により女子受験生に避けられている可能性があります。
・駒込(文京区)
駒込本校の前身は1682年(天和2年)に上野不忍池の畔に創設された天台宗の僧侶を養成する勧学講院で、1926年(大正15年)に現在地(文京区千駄木)に駒込中が開校しました。1952年に女子部が開設され、1992年の中学校募集の再開にあたって共学化されました。都内で唯一の天台宗系の仏教主義学校です。全員参加で比叡山研修や日光山研修などの仏教行事があり、座禅や写経も行われています。校長の河合孝允先生による強力な指導によって休みなく学校改革が行われ、先端的で現代的な教育を行っている学校です。ネイティブの先生が英語で数学、理科、社会、音楽、地理などの授業を行うイマ―ジョン講座やオールイングリッシュの授業が行われ、様々な海外研修のプログラムが組まれており、理数系でもSTEM教育が成果を出してきています。中学校の募集定員は本科コースが60名、国際先進コースが60名で合計120名、高校の外部募集の定員は240名です。入試は5回あって、2020年入試では2/1午後の2回が10名増員されています。応募者は1回が248→243名と5名の減でしたが2回は186→275名と48%の大幅増、3回は141→170名と21%増、4回は27→34名と26%増、5回は117→150名と28%増で、総計では719→872名と21%増で、女子の増加が目立っています。合格者を多めに出しているので倍率はさほど上がっていません。駒込教育に対する期待感が上がっているのか、入学者は男子108名、女子69名の計177名で前年より41%増になっています。
・東京農業大学第一(世田谷区)
1949年(昭和24年)に東京農業大学予科が学制改革により東京農業大学第一高校になりました。1955年には女子部が併設され、1964年には共学化されています。中等部は2005年に開校しました。東京農業大学の付属校ですが以前より他大学進学者が多く、中等部入学者が卒業するようになると、さらに難関大進学者が増えています。2019年の大学合格実績は卒業生346名で、国公立大が東大1名、京大1名、一橋大2名、東工大2名を含めて過去最高の73名、早慶上理が83名、GMARCHが210名でした。医学部医学科の合格者は10名です。東京農業大学の推薦枠は135名分ありますが合格者は87名でした。中学募集の定員は175名で、高校からの外部募集の定員は150名です。入試は3回で2/1午後の1回は2科・4科選択入試、2/2午後の2回は算・理または算・国の2科入試、2/4の3回は4科入試です。男女別の定員はなく、判定は男女同一基準です。2020年入試の応募者は1回が698→685名と2%減ですが、2回は544→749名と38%の大幅増、3回は419→464名と11%増で、総計では1661→1898名と14%増でした。ただし男女別に見ると、男子が790→765名と3%減、女子は871→1133名と30%の大幅増です。男子の減少は世田谷学園との競合によるものでしょう。女子の増加は難化が続いた東京都市大等々力からの流入によるものでしょうか。合格最低点は1回が2科102/200、4科164/400、2回は算理が161/200と非常に高く、算国は128/200、3回は261/400でした。
・東京都市大学等々力(世田谷区)
東急グループの五島育英会の学校で男子校の東京都市大学付属とは姉妹校です。2009年に武蔵工業大学が東京都市大学に校名変更し同じ法人の東横学園短大と合併したのにともない東横学園中高も東京都市大学等々力と校名変更、2010年には共学部が発足、2015年には全学年が共学になりました。またそれにともない急速に進学校化へ向けた学校改革が進んで人気が急上昇し、毎年のように応募者増、倍率アップが進み難易度も急上昇しました。ここ数年はかつてのような右肩上がりの入試状況は落ち着いてきており高値安定と言ったところです。中学校の募集定員は帰国が20名、S特選コースが80名、特選コースが100名で計200名、高校からの外部募集の定員は40名です。入試は特選入試が2回、S特選入試が2回、アクティブラーニング入試が1回、英語1科型入試が1回の計6回で、S特選入試1回には算数1科入試が新設されました。2020年入試の応募者は12月の帰国入試が169→213名と26%の大幅増、S特選が1356→1471名と8%増、特選は1278→1303名と2%増、アクティブラーニング入試は96→92名と4%減、英語入試は116→82名と29%減で、帰国入試をのぞくと合計で2844→2948名と4%増でした。なお新設の算数1科目入試には105名の応募者が集まっています。
・順天(北区)
1834年(天保5年)に大阪で開設された数学塾「順天堂塾」が前身です。1871年(明治4年)東京神田に移転、1953年に現在地(北区王子)に移転し、1990年に共学化して、1995年に中学校を開校しました。文科省からSGHに指定されています。2018年には東大に2名の合格者を出しました。2019年春の大学合格実績は卒業生242名で、国公立大34名、早慶上理43名、GMARCH147名でした。中学校の募集定員は90名、高校の外部募集の定員は120名です。入試は1回A・B、2回A・B、3回多面的入試と帰国入試が2回で計7回です。多面的入試は国語または英語と算数、マイプレゼンテーションとパフォーマンス評価の合計で判定される入試です。2020年入試の一般入試の応募者は前年比20%増の717名、実受験者では36%増の556名でした。合格者を減らしたため倍率が各回とも2.5倍を超え、特にBの1回・2回は3倍を超えて厳しい入試になりました。合格者は全体的に学力レベルが上がっているようです。応募者増加の要因は前年の応募者減の反動とともに、本校の英語教育やグローバル教育についての理解が深まったためでしょうか。
・淑徳(板橋区)
淑徳1892年(明治25年)に尼僧輪島聞声先生によって東京小石川で設立された仏教主義学校(浄土宗)です。1991年の中学校が、1992年には高校が共学化されました。大学合格実績は2019年の卒業生406名で、国公立大が東大2名、一橋大2名、東工大1名など48名、早慶上理110名、GMARCH229名でした。2020年春には東大3名、京大1名の合格が出ています。中学校の募集定員は135名、高校の外部募集の定員は90名です。入試はスーパー特進東大選抜2回、スーパー特進2回、英語入試が4回の計8回です。2020年入試ではスーパー特進1回が15名減員され、スーパー特進東大選抜が5名ずつ増員され、2/2と2/3がスライド合格制になりました。2020年入試の応募者はスーパー特進1回が283→329名と16%増、2回は447→535名と20%増、スーパー特進東大選抜は1回が317→422名と33%増、2回は383→495名と29%増、4回計では1430→1781名と25%増です。合格者が絞られすべての回で倍率が上昇し厳しい入試になりました。今年からすべての入試に英語入試が新設され、受験者43名、合格者9名でした。人数は少なかったものの高い英語力を持った受験生が受験しています。

(つづく)


〔次回予告〕2020年度東京・神奈川私立中学校入試速報(10)

次回からは神奈川の共学校です。

そうだったのか!中学入試 コラムTOPにもどる

  


TOP