コラム「そうだったのか!中学入試」
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第161話「2020年度東京・神奈川私立中学校入試速報(8)」

2020年4月8日

①東京の共学校(その2)
日本大学の付属校には日大と同一法人の直系の付属校のほか、別法人の経営で日大と系属校契約を結んだ日大系属校(校名の最初が地名)と、元は直系付属校だったが戦後経営的に日本大学から分離した3校の日大特別付属があります。なお昨年は日本大学アメフト部の不祥事のため多くの系列校で応募者を減らしましたが、今年はその反動でほとんどの日大付属校・系属校は応募者を増やしています。
・日本大学第一(墨田区)
日本大学第一1913年(大正2年)に日本大学初の付属校として神田三崎町で開校し、1924年に両国の現在地に移転しました。戦後1946年に経営的に日本大学から分離して特別付属となり、1997年に共学化されて現在に至っています。中学校の募集定員は200名、高校の外部募集の定員は150名です。入試は4科入試が2回、2科入試が2回の計4回ですべて午前入試です。2020年入試では4科1回が252→267名と6%増、4科2回が302→354名と17%増、2科1回が275→277名と1%増、2科2回は276→331名と20%増でした。倍率は4科1回が1.6→2.0倍、4科2回が2.3→3.1倍、2科1回が3.2→7.0倍、2科2回は5.7→9.0倍と4回とも上昇しています。特に2科の1回は7.0倍、2回は9.0倍と高倍率となり厳しい入試となりました。繰り上げ合格はありません。
・日本大学第二(杉並区)
1926年(大正15年)に日本大学で2番目の付属校として現在地で開校しました。1996年に中学が共学化しています。また日大系の中では最も早く他大学進学に取り組んだ学校として知られています。中学校の募集定員は240名で各回とも男女半々で、高校の外部募集の定員は180名です。入試は2回ですべて4科入試です。2020年入試の応募者は、1回が392→457名と17%増、2回は576→677名18%増と2回とも大きく増えています。倍率は1回が1.9→2.3倍、2回は2.8→4.7倍と大きく上昇。合格最低点は1回の男子が189/300、女子は166/300、2回の男子は213/300、女子は196/300と男子の方が相当に高くなっています。
・日本大学第三(町田市)
1929年(昭和4年)に日本大学赤坂中学校として開校。1976年に現在地(町田市図師町)に移転、1991年に中学が共学化されました。緑に囲まれた広大な敷地に多くの体育施設がありスポーツの強豪校として知られていますが、他大学進学においても国公立大や難関私大の実績を挙げています。中学校の募集定員は266名で男女別の定員はありません。高校の外部募集の定員は130名です。入試は3回あり、1回・2回は2科・4科選択入試、3回は2科入試です。2020年入試の応募者は1回が393→414名と5%増、2回は465→564名と21%増で、倍率は1回が1.6→1.7倍、2回は1.8→2.6倍、3回は2.8→6.0倍とすべて倍率上昇です。特に3回は大幅な上昇で厳しい入試となりました。繰り上げは実施していません。なお特待合格が9名出ていてそのうち3名が入学しています。
・渋谷教育学園渋谷(渋谷区)
1995年に共学の中高一貫校として渋谷教育学園の2校目の学校として開校。幕張と渋谷ともに校長は田村哲夫先生です。幕張は現在も高校募集をしていますが、渋谷は開校4年目には高校募集を廃止して完全中高一貫校になっています。まだ開校25年目ですが近年の難関大合格実績は素晴らしく、2020年の卒業生は232名で東大合格者は34名と過去最高です(ちなみに今年の幕張は卒業生354名で東大合格者74名)。中学校の募集定員は175名で入試は帰国生入試と一般入試が3回で、一般入試はすべて午前の4科入試です。2020年入試の応募者は1回の男子が178→134名と25%減、女子は285→266名と7%減、2回の男子が428→385名と10%減、女子は368→374名と2%増、3回の男子が393→295名と25%減、女子は362→294名と19%減と減っています。特に男子の減少が多くなっていますが、減った応募者はほとんどがチャレンジ層と思われ難易度はほとんど変わっていないようです。倍率は1回の男子が3.3→3.0倍、女子は3.9→3.1倍、2回は男子が2.5→2.0倍、3回は男子が8.1→4.9倍、女子は12.3→9.5倍とすべて下がっています。合格最低点は1回の男子が177/300、女子が180/300、2回の男子が168/300、女子が182/300、3回の男子が184/300、女子は194/300と2回・3回は女子の方が10点以上高くなっています。なお人数は非公表ですが繰り上げが20名ほど出ているようです。
・広尾学園(港区)
広尾学園順心女子学園という女子校でしたが、埼玉の塾経営者だった大橋清貫先生によって2006年より徹底的な教育改革、教員研修が開始され、2007年には共学化、校名変更、2012年には新校舎が完成しています。この改革で多くの先生が去り、他校や塾からスカウトした実力派の先生、大学院卒の優秀な先生によって全く新しい学校に生まれ変わっています。共学化、学校改革のスタート以来人気上昇、応募者増加、難易度上昇が続き、今では当初目標としていた渋谷教育学園渋谷に並ぶようなレベルの学校になっています(2/1の午後入試は渋谷の偏差値を超えています)。大学合格実績でも2020年春は東大3名、一橋大2名、東工大2名、早慶上智187名などの難関大の実績を挙げています。
なお学校名は広尾学園ですが学校の所在地は渋谷区広尾ではなく港区南麻布です。
中学校の募集定員は国際入試40名、一般入試200名の計240名、高校の外部募集の定員は40名です。最近数年間は共学化以来の倍々ゲームのような応募者増、倍率アップ、難易度アップは一段落ついて落ち着いた入試状況ですが、人気が下がったわけではなく、もう誰でも合格できるような学校ではなくなったためです。2020年入試の応募者は本科が3回計で1863→1777名と5%減、インターナショナル(SG・AG計)は388→318名と18%の大幅減、医進サイエンスは707→565名と20%の大幅減でした。倍率も本科が3回計で1863→1777倍、インターナショナル(SG・AG計)も5.1→3.9倍、医進サイエンスも4.5→3.4倍と下がっています。応募者が減り倍率が下がっていますが、受験生のレベルは昨年と同等か入試回によってはむしろ上がっているようです。入試問題は記述する時間を取るために問題数を減らしていますが、しっかり記述が書けている答案が増えています。なおインターナショナルSGから本科へのスライド合格が24名出ています。
・三田国際学園(世田谷区)
港区の三田にあった戸板女子という女子校が1993年に世田谷区の用賀の新校舎に移転し、その後広尾学園校長を任期満了で退職した前述の大橋先生が2014年に学園長として迎えられて2015年の共学化・校名変更などの学校改革がスタートしました。入試では応募者の増加、倍率上昇、難易度アップが続いていましたが2018年・2019年と応募者が大きく減って落ち着いた入試になりました。急激な難化に対する敬遠とともに世田谷学園、田園調布学園、東京都市大等々力、日本大学、桐蔭学園等の東京と神奈川の有力校との競合が激化しているためでしょう。2020年入試の応募者は本科の3回の計で992→1085名と9%増、インターナショナルの4回の計で1096→1059名と3%減、算数入試は210→179名と15%減、MST入試(算数と理科の2科入試)は458→410名と10%減で、応募者の総合計では2756→2732名と微減です。合格者を増やした回が多く、9回の入試回のうち5回で倍率が下がっています。ボーダーあたりでやや緩和している可能性があります。
・かえつ有明(江東区)
かえつ有明2006年に千代田区富士見町から法政大学との校地交換によって江東区有明の現校地の新校舎に移転し、同時に共学化しました。前年までは一部に別学の学年がありましたが、今年の入学生から6年間完全な共学体制になります。「21世紀型教育」に積極的に取り組み、グローバル教育にも力を入れており、在校生の22%は帰国生です。中学校の募集定員は一般生が130名、国際生(帰国生)が40名で計170名です。高校からの募集は国際生の10名のみです。2020年入試の応募者は一般入試が1210→1633名と35%の大幅増で、国際生は563→668名の19%増です。2/3午後の特待入試は152名受験して合格者3名、倍率50.7倍、2/3午後のアクティブラーニング思考力特待入試は68名が受験して合格者1名、倍率68.0倍と激烈な入試になりました。昨年少なかった入学者も、5クラス162名から7クラス225名と大幅に増加しています。千代田区から有明に移転して14年目ですが、このところ豊洲、新浦安や大井町などの湾岸地域からの受験生が増え、それに伴い併願校のエリアにも変化が見られるとのことです。
・開智日本橋(中央区)
1905年(明治38年)に日本橋女学校が開校。戦後に日本橋女学館中学・高校になり、2015年に開智学園と提携し共学化し校名変更。2016年には開智学園と法人合併しています。2019年には生徒の増加に対応するため隣接する別館の改築が完成しています。中学校の募集定員は一般入試が130名、帰国入試が20名です。2018年に高校の募集を停止して完全中高一貫校になりました。23区の私立中学校としては初の国際バカロレアMYP、DPに認定されています。2019年一般入試では応募者が増加し厳しい入試となった反動か、2020年入試の応募者は総数で3087→2562名と17%の大幅減となりました。とはいえほとんどの入試回は5倍以上の実倍率ですからまだまだ厳しい入試と言えます。なお埼玉の姉妹校の開智中と開智未来中との併願者には優遇があるため埼玉や都内城北地区からの受験生が相当にいます。
・東洋大京北(文京区)
東洋大京北1899年(明治32年)に哲学者井上円了博士によって京北尋常中学校が設立されました。哲学館(現東洋大学)の創立者も井上円了博士なので両校は姉妹校です。2011年に東洋大学と合併し、2015年には文京区白山の新校地に移転、共学化し校名変更しました。中学校からの入学生は他大学受験をメインとするカリキュラム、高校からの入学生は東洋大への内部進学をメインとするカリキュラムです。広尾学園や三田国際学園のようなニュータイプの進学校ではありませんが、積極的にグローバル教育に取り組んでいるほか、中学ではユニークな哲学の授業があります。生徒が円形の座席で行うアクティブラーニング型の探究授業です。また中学入試にも「哲学教育」思考力・表現力入試がありますが一種の思考力入試です。一連の学校改革を推進している石坂康倫先生は、元都立桜修館中等教育学校校長で前都立日比谷高校校長です。後輩の元都立高校の校長や日比谷高校時代の部下の進路指導担当の有力な先生などが来て改革を支えています。2020年入試の応募者は2回が前年同数、「哲学教育」思考・表現力入試は66→40名と減りましたが、他の3回はすべて増加していて合計では1330→1431名と8%増でした。

(つづく)


〔次回予告〕2020年度東京・神奈川私立中学校入試速報(9)

次回は東京の共学校(その3)です。

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