コラム「そうだったのか!中学入試」
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第159話「2020年度東京・神奈川私立中学校入試速報(6)」

2020年3月30日

②神奈川の女子校(その2)

・日本女子大学附(川崎市多摩区)
日本女子大学附アメリカの大学で女子教育について学んで帰国した成瀬仁蔵によって1901年(明治34年)に日本女子大学と同時に高等女学校が開校しました。開校時から中等教育と高等教育の一貫教育が実施されていた全国で唯一の学校です。成瀬仁蔵は牧師ですが学校はキリスト教主義学校ではありません。中学の募集定員は130名で、高校からの外部募集の定員も130名です。併設の豊明小学校(文京区目白台)からの内部進学者を含めて1学年は250名前後です。2回の入試で合計500名台の応募者数が続いていましたが、2019年入試は472名と大きく減少しました。2020年入試の応募者は1回が186→248名と33%の大幅増、2回も286→369名と29%の大幅増で、合計では472→617名と31%増と2018年の537名も大きく上回っています。倍率は1回が1.8→2.4倍、2回は2.0→3.1倍と相当に上昇しており、どちらの難易度も上がっているものと思われます。合格最低点は偶然ですがどちらも119/200でした。第一志望者が多い学校ですが、1回の受験者の86%は2回にも出願しています。1回合格者の手続き率は92%でした。合格後の入学辞退者が4名と少なく、繰り上げ合格は出していないようです。例年通り学校が所在する小田急線沿線の受験生が多いのですが、今年は京王線沿線方面の受験生が少し増えています。
・湘南白百合学園(藤沢市)
湘南白百合学園1931年(昭和13年)に開校したカトリックミッションの女子校です。1979年に江の島を臨む片瀬目白山の現在地に移転しています。東京九段の白百合学園、箱根の函嶺白百合学園は姉妹校です。中学校の募集定員は帰国入試の10名を含めて70名と小規模募集校で、併設の湘南白百合小学校からの内部進学生を含めて1学年は180名前後です。2020年入試では大きな入試要項の変更があり大注目校になりました。長く2/2の4科の1回入試でしたが、2/1午後に定員15名で算数1科目入試、2/2午前には若干名の定員で英語資格入試が新設されました。その結果は2/1午後の算数1科入試は予想通り147名の応募者が集まり、さらに定員が60→45名と減ったにもかかわらず2/2の4科入試の応募者も179→197名と10%増です。3回の合計では179→356名と99%増でした。倍率は新設の算数1科入試が2.1倍、英語資格入試が1.3倍で、2/2の4科入試は1.3→1.9倍と上昇しています。合格最低点は算数1科入試が78/100、4科入試が246/400、英語資格入試は190/300でした。
・横浜女学院(横浜市中区)
1947年(昭和22年)に二つの女子商業学校が合併してできたプロテスタント系のキリスト教主義学校です。学校はミッション系女子校が密集する山手の丘にあり、隣は横浜共立学園です。英語教育で定評があり丁寧な指導で人気の中堅校でしたが、進学にも力を入れ近年では、2017年に初の東大合格者が出て、早慶上理やGMARCH等の難関私大の実績も伸びてきました。中学校の募集定員は180名で高校からの募集は帰国生のみです。2019年に入念な準備の上で新設された国際教養クラスが大人気となり応募者が総数で840→2032名と142%の大幅増となりました。さらに2020年入試では国際教養教育の認知が進んだのと特奨入試の新設でさらに人気が上がり、第一志望者も増えて応募者が2032→2750名と35%増で2年連続の大幅増です。増加の主力は特奨入試でした。そのため国際教養クラスの定員30名に対し入学手続きをとった受験生が80名と予想外に多く、急遽クラス増設で対応するとのことです。3年ほど定員割れが続いていましたが今年は入学者が184名と定員を満たしただけでなく相当に学力レベルも上がっています。主な併願校は横浜共立学園、鎌倉女学院、清泉女学院、山手学院、品川女子学院、田園調布学園、神奈川学園などです。また東京女子大学、武蔵大学、成蹊大学、明治学院大学、成城大学、関東学院大学との高大連携が締結されており、今後は上智大学や秋田の国際教養大学との連携も始まります。
・清泉女学院(鎌倉市)
1947年(昭和22年)にスペイン人の3人の修道女によって横須賀で設立されたカトリックミッション校です。1963年に現在地(鎌倉市城回りの高台、戦国時代の城跡)に移転しました。中学校の募集定員は帰国生15名を含めて120名で、高校からの募集がない完全中高一貫校です。併設の清泉女学院小学校(鎌倉市雪ノ下)からの内部進学者を含めて1学年は180名前後です。品川五反田の島津山にある併設の清泉女子大学へは47名が合格しています。2020年入試では1期、2期、3期の入試に加えてアカデミックポテンシャル入試が新設され4回入試になりました。応募者は1期と2期が微減、3期は4科選択者が12%増でしたが3科選択者は22%減、グローバル入試(英語1教科入試)は25%減でした。新設の思考力・表現力・総合力を測るアカデミックポテンシャル入試の応募者は68名でした。応募者の総数では672→752名と12%増でした。倍率は1期、2期は前年並み、3期は3タイプ入試の合計で2.7→2.2倍と低下、新設のアカデミックポテンシャル入試は定員10名ピッタリの合格者で5.6倍と高倍率となりました。
・聖園女学院(藤沢市)
1946年(昭和21年)に現在地で設立されたカトリックミッションの女子校です。併設の小学校がありましたが2004年に廃校になりました。2016年に名古屋のカトリックの南山大学と法人統合しましたが、経営面での統合で教育面では従来通りの教育が行われ、付属校になったわけではありません。中学の募集定員は帰国入試の5名を含めて120名で、高校の募集のない完全中高一貫校です。入試では2020年入試より2/5に一般入試の5回が新設され、総合力入試と合わせて6回入試になりました。応募者は2018年入試で大きく減り、2019年は横ばい、2020年は6回の入試すべてで応募者が減り、総数では新設の5回を含めても430→341名と21%の大幅減です。倍率は定員減の総合力入試が1.3→1.6倍と上昇しましたが、他の回は前年並みか前年より下がっています。非常に丁寧な教育をする学校ですが、この大きな応募者の減少はせっかくの学校の良さをアピールするのに控えめで、湘南白百合学園や清泉女学院などの周辺のカトリック校の大きな動きの中で埋没しているためと思われます。今年は普連土学園、大妻多摩、実践女子学園、目黒星美、香蘭女学校、品川女子学院などの都内の学校や埼玉の大妻嵐山、千葉の和洋国府台など例年にない学校との併願者がいました。また町田方面の受験生がやや増えています。
・神奈川学園(横浜市神奈川区)
神奈川学園1914年(大正3年)に横浜市中区で横浜実科女学校として設立され、1918年に現在地(神奈川区沢渡)に移転しました。横浜駅から徒歩圏内の唯一の私立中学校であり、ミッション校の多い横浜の私立女子中では唯一の無宗教の学校です。同じ敷地に併設の精華小学校(共学)がありますが、御三家や慶應などに多数の合格者を出す受験小学校で本校への進学者は例年数名です。2000年より「21世紀教育プラン」に基づく学校改革が始動し、2008年からは「同2ndステージ」、2011年からは「同3rdステージ」の改革によって学校は大きく変わりました。2019年3月の現役大学進学率は90%で、大学合格実績は難関私大の定員絞り込みの影響でやや苦戦したようですが、国公立大が阪大1名、東外大1名など7名、早慶上理15名、GMARCH75名です。入試はA午前、A午後、B、Cの4回入試で午前入試は2科・4科選択、A午後は2科入試です。どちらかと言えば地味な学校で、教育内容、入試方法ともオーソドックスですが、着実な学校改革で評価されているようです。その結果か2020年入試では4回のうち最後のCが微減でしたが、3回で応募者が増え、合計では846→911名と8%増でした。倍率はA午前が1.4→1.6倍、A午後は1.6→1.8倍、Bは1.4→1.5倍、Cは応募者が減っていますが実受験者は増えて1.5→1.8倍と4回とも上昇しています。またBは答案の様子から明らかに受験生の学力レベルが上がっているとのこと。なおBで今年から導入された英検3級程度の英語入試(3科入試)は応募者が19名でしたが、3名はAで合格、12名が受験し8名が合格しました。
・捜真女学校(横浜市神奈川区)
1886年(明治9年)アメリカのバプテスト派宣教師により横浜山手の丘の上で設立され創立134年目のプロテスタントミッション校です。1910年に現在地(神奈川区中丸の高台)に移転しています。中学校の募集定員は150名で併設小学校からの内部進学者と合わせて1学年は160名前後、高校からの外部募集定員は20名です。入試は2科または2科・4科選択入試が5回と対話学力入試の6回ですが、2020年入試の応募者は2/1午前のA1が85→89名と4名の増加でしたが、他の5回は全て減少で合計では648→532名と19%の大幅減でした。最近の傾向として川崎、東京方面からの受験生が増えているそうです。
・カリタス女子(川崎市多摩区)
カリタス女子1961年(昭和36年)にカナダケベックのカリタス修道女会によって創立された創立50年目のカトリックミッション校です。創立以来「英仏複言語教育」(英語とフランス語が必修)を行っています。中学の募集定員が130名の小規模募集校で、高校募集がない完全中高一貫校です。併設のカリタス小学校からの内部進学者と合わせて1学年は約190名です。横浜市の青葉区あざみ野にあったカリタス短大は2017年に閉学しました。入試では今年から2/2午後の3回が、読解・論述と算数・理科・英語から1科選択から国語と算数・理科・英語から1科選択に変更されています。3回以外の応募者は相当な減少ですが3回の応募者は52→133名と156%の大幅増で合計では354→441名と25%増でしたが、実受験者の合計では416→369名と11%減でした。
・聖セシリア女子(大和市)
1929年(昭和4年)に創立者の信仰に基づいて設立されたキリスト教主義(カトリック)学校です。中学校の募集定員は105名で、最近では併設のセシリア小学校からの内部進学者と合わせて1学年が100名前後です。2020年より高校の外部募集を定員30名で再開しています。入試は2科・4科または2科のA方式(1次~3次)、2/1午後のグループワーク型・読解表現入試と2/2の英語入試のB方式と帰国生入試の6回の入試です。A方式の応募者は合計で371→354名と5%減、B方式の応募者は55→70名と40%増で帰国生入試を除く応募者の総計では426→424名と2名減と前年並みでした。なおグループワーク型入試はすぐ近くの県立相模原中等教育学校で適性検査とともに行われているグループ活動による検査を意識した選抜方式で、県立相模原中等教育学校との併願者が多く受験していて合格者35名中10名が入学しました。

(つづく)


〔次回予告〕2020年度東京・神奈川私立中学校入試速報(7)

次回は東京・神奈川の共学校(その1)です。

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