コラム「そうだったのか!中学入試」
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第156話「2020年度東京・神奈川私立中学校入試速報(3)」

2020年3月19日

①東京の女子校(その2)

・大妻(千代田区)
中学の募集は280名で高校からの募集がない完全中高一貫校です。すべて午前入試で4科入試とオーソドックスな入試です。2019年入試より2/5に4回を新設し4回入試になりました。多くの受験生が入試を終えている2/5と遅い日程ながら、新設の4回は応募者が451名、受験者355名と予想を超える受験生が集まり、4回の合計は1586→1992名と26%の大幅増でした。2020年入試の応募者は4回の入試のうち3回で相当に減って、4回の合計では1992→1793名と10%減です。進学色を強めて例年通り併願校は浦和明の星、頌栄女子学院、吉祥女子、鷗友学園女子、学習院女子、東京女学館などは例年通りですが、今年は女子学院、雙葉、青山学院、香蘭女学校(午後入試)が増えています。女子のトップ層の併願校として選ばれるようになっていることが見て取れ、応募者は減っていますが上位層が増えているようです。
倍率は1回が2.6→2.6倍で変わらず、2回は2.3→2.1倍とやや低下、3回は4.5→3.4倍に低下し4回は7.9→4.9倍と大きく低下しました。
合格最低点は1回が202/320、2回が211/320、3回が210/320、4回は208/320でした。辞退者が少なかったので繰り上げは出していません。なお帰国生入試に力を入れ始めており、帰国入試の応募者が75→104名と急増しています。
・共立女子(千代田区)
共立女子大妻と並ぶ都心の女子大付属校です。併設の共立女子大学への進学者は例年15%ほどで、残りは他大学進学です。近年は医学部への進学者が増えています。中学の募集定員は320名で高校募集がない完全中高一貫校です。1学年320名は都内の私立女子中では最大です。帰国入試の他に一般入試が4回あり、2/1と2/2の午前が4科入試、2/3入試はよく工夫された新タイプ入試で午前がインタラクティブ入試(算数と英語インタラクティブトライアル)、午後が合科型入試です。
2020年入試の応募者は2/1が490→556名と13%増、2/2は762→943名と24%の大幅増、2/3午前は59→64名と8%増でしたが、2/3午後の合科型入試は前年の高倍率で敬遠されたのか517→487名と6%減でした。インタラクティブ入試は59→64名と5名増でした。合格者の72%は複数回のチャレンジで、公立一貫校との併願者は予想より少ない10%程度でした。倍率は2/1が3.0→3.3倍、2/2は3.2→3.6倍と上昇、2/3午前は合格者を減らし2.3→3.1倍、2/3午後は合格者を63→43名と絞ったため6.0→8.1倍と大きく上昇しています。合格最低点は2/1が218/350、2/2が225/350、インタラクティブは120/150、合科型が111/200で、補欠繰り上げ人数は45名(2019年は32名)でした。併願校は近隣の女子校が多く、共学の大学付属校は少ないようです。なお今年は例年より東京西部が増えたそうです。
・恵泉女学園(世田谷区)
創立者の河合道の信仰に基づく特定の教派・教団に属さないキリスト教主義学校(プロテスタント校)です。中学の募集定員は180名で高校募集がない完全中高一貫校です。1回と3回はもとから午後入試ですが2/2が日曜だったため2回が午後入試となり、3回の入試すべてが午後入試になりました。首都圏の学校ですべての入試が午後入試というのは初めてのケースです。1回と3回が2科で2回は2科・4科選択入試です。
2020年入試の応募者は1回が465→619名と33%増、2回は午後入試になって445→697名と57%増、3回は480→677名と41%増で3回すべて大幅な増加です。2019年入試では手続き率が予想外に高く入学者が超過してクラス増となったために合格者総数を498→448名と減らしています。倍率は1回が1.6→2.5倍、2回は1.9→2.9倍と上昇、3回は3.0→9.4倍と急上昇で厳しい入試になっています。特に3回は大きく難化しています。合格最低点は1回が132/200、2回は2科が127/200、4科は172/300、3回は142/200でした。昨年は4名の繰り上げがありましたが、今年は繰り上げを出していないようです。小田急線経堂駅を挟んで反対側の鷗友学園女子との併願者が多いのは例年通りですが、今年は京王線沿線エリアからの受験者が増えています。
・香蘭女学校(品川区)
香蘭女学校附属校・系属校ではありませんが同じ聖公会系の立教大学とは深いつながりがあり、立教大学の関係校推薦枠が80名分あります。例年約半数の80数名が入学しています。なお来年より関係校推薦枠が80→97名に増員されます。
ちなみに現在の理事長と校長はどちらも元立教池袋中高の校長です。中学の募集定員は160名と小規模募集校で、高校募集のない完全中高一貫校です。第一志望者が多く長年2/1の1回入試でしたが、2019年入試より2/2を新設して2回入試になり、応募者が1回8%増、新設2回が738名を集めて合計では422→1194名と183%増と激増しました。
2020年入試の応募者も1回が456→497名と9%増、2回は738→877名と19%増でした。倍率は1回が4.1→3.9倍とやや下がりましたが、2回は合格者を123→109名と絞り込んだため4.5→5.8倍と上がり前年以上に厳しい入試となりました。前年は複数回受験者から補欠候補が46名発表(繰り上げ人数は非公表)されましたが、今年は現時点で不明です。
・頌栄女子学院(港区)
中学校の募集定員は200名で2/1の1回が100名、2/5の2回が100名です。入試はどちらも午前入試で4科入試です。2019年入試の応募者は1回が11%減、2回は16%の大幅減、2020年入試の応募者は1回が308→273名と11%減、2回も592→535名と10%減と2年連続の減少です。昨年から2回入試になった香蘭女学校と競合している可能性があります。またチャレンジ層には敬遠されているようです。倍率は1回が2.6→2.3倍、2回は3.6→3.3倍と低下しています。合格最低点は1回が231/400、2回は226/400でした。
この学校は補欠や追加合格を出しません。なお帰国入試は12月の応募者が183名で合格者は85名、2月は応募者が44名で合格者は10名でした。
・品川女子学院(品川区)
1991年に進学を柱とし校名変更、校則撤廃や新制服による大胆な学校改革で大人気となった学校です。
2017年入試より2/1午後に算数1教科入試を導入し、初年度は360名の応募者を集めましたが、2年目の2019年入試では21%の大幅減、3年目の2020年入試でも284→254名と11%減で、2年連続で大きく減っています。難易度の高さで敬遠されているのでしょう。算数1教科入試の受験者はほとんどが豊島岡女子学園や、洗足学園、公立一貫校等の難関校との併願者です。ただし他の3回は増えており、4回の合計では1152→1257名と9%増です。導入5年目の表現力総合型入試の応募者は241→287名と19%増で完全に定着しています。倍率は1回が2.2→2.5倍、算数1教科入試は合格者を137→95名と絞り込んで2.0→2.5倍に上昇、2回は1.8→2.2倍、3回の表現力総合型入試は3.0→5.1倍と大きく上昇。結局すべての回で倍率が上昇しています。
なお2024年にすべての校舎が完成予定で新たに購入した校地に新校舎を建設中です。仮校舎への移転やプレハブ校舎での授業はなく、現校舎で学びながら、順次完成する校舎に移転していきます。
・晃華学園(調布市)
晃華学園中学の募集は110名で併設の晃華学園小学校からの内部進学者と合わせて中学は1学年160名程度です。高校からの募集がない完全中高一貫校です。2018年入試で応募総数が281→250名と11%減となりましたが、2019年に2/1午後の入試を導入し272名を集めました。さらに2020年入試の応募者は1回が84→121名と44%増、2回の午後入試は定員を30→35名と増員し272→280名と3%増、3回は136→164名と21%増で3回合計では492→565名と15%増でした。倍率は1回が1.4→2.1倍、2回が1.6→1.7倍、3回は1.9→3.8倍と3回とも上昇しています。合格最低点は1回が160/300、2回は91/160、3回は196/300でした。繰り上げ合格が20名出ています(前年は0名でした)。
難関校(おそらく吉祥女子や鷗友学園女子)との併願者が増えており、締め切り間際の出願や説明会に出席せずに受験した受験生がかなりいたとのことです。また都立中高一貫校との併願者も増えています。
・富士見(練馬区)
城北地区の中堅私立校の多くがコース制を導入していますが、富士見はコース制を廃止した珍しい学校です。選抜コースを廃止した後に大学合格実績が伸びるという意外な展開でしたが、実は学校の目論見通りだったとのことです。2011年に高校募集を停止した完全中高一貫校で、西武線沿線の女子校では豊島岡女子学園に次ぐレベルで人気の高い学校です。
中学の募集定員は240名で2020年入試より2/2午後に20名の定員で算数1科目入試を新設して4回入試になりました。他の3回の入試は全て午前入試で4科入試です。2018年入試の応募者が大きく増えましたが、2019年入試では1回が6%減、2回は5%増、3回は1%の微増でした。2020年入試では新設の算数1科目入試を除き3回すべて減少しています。1回が268→233名と13%減、2回は401→394名と2%減、3回は302→264名と13%減でした。しかし新設の算数1科目入試の応募者が199名でしたので、合計では971→1090名と12%増でした。倍率は1回が2.2→2.0倍、2回は2.4→2.1倍と下がりましたが、20名の定員減となった3回は合格者を86→58名と減らし2.8→3.1倍と上昇しています。新設の算数1科目入試の倍率は1.9倍でした。合格最低点は1回が177/320、2回は184/320、3回は188/320、算数1科目入試は54/100でした。補欠合格が1回で27名、2回で32名、3回で17名出ています。
主な併願校は中央大附、大妻中野、十文字、星野学園、西武学園文理、都立大泉高附などです。なお今年の東大推薦入試で初の合格者を出しています。
・昭和女子大学附属(世田谷区)
昭和女子大学附属グローバル教育に力を入れる先進的な取り組みをする学校として知られています。広いキャンパスには2019年9月よりテンプル大学ジャパンキャンパスが移転してきて昭和女子大キャンパスはグローバル色が豊かになりました。
中学校の募集定員は160名で本科クラスが140名で入試は4回、グローバル留学コースは20名で入試は2回、計6回の入試があります。2020年入試の応募者は驚くほどの激増で、本科のAが72%増、Tが85%増、Bは93%増、Cも93%増、グローバル留学コースのGAは206%増、GBは138%増でした。本科の合計では636→1192名と87%増、グローバル留学コースは45→118名で162%増、総計では681→1310名で92%増でした。倍率は本科のAが2.0→3.3倍、Tが1.2→2.6倍、Bは1.9→4.8倍、Cは1.7→7.6倍と急上昇、グローバル留学コースのGAは1.6→4.8倍、GBは1.7→5.3倍と大きく上昇しています。2018年入試よりグローバルスタディーズクラスを廃止した実践女子学園の応募者が200名近く減っており、一部は実践女子学園からの流入があったようです。

(つづく)


〔次回予告〕2020年度東京・神奈川私立中学校入試速報(4)

次回は東京の女子校のつづき(その3)です。

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