コラム「そうだったのか!中学入試」
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第149話「2020年東京・神奈川中学入試予想①――東京・神奈川の男子校・女子校――

2019年12月28日

今回は予定を変えて11月の大手公開模試の動向から東京・神奈川の2020年中学入試の動向を予測します。なお、模試志望者動向の正確な前年比較ができなくなっており、各種模試データから確実に推測できそうな学校に限って入試予想をお伝えします。今回は東京・神奈川の男子校と女子校の予想です。


全体の受験者数


首都圏の中学入試の受験者数はリーマンショック以降減少が続きましたが2014年に底を打って以降徐々に増加に転じ、2018年は小6人口の減少にもかかわらず私学人気の高さにより受験者は増加、2019年は小6人口の増加もあり受験者数が大幅に押し上げられました。
小6児童数を地域別に見ると東京が2%程度の増加、神奈川は微増、千葉・埼玉は前年並みで1都3県では1%強の増加になります。また男女別に見ても、それぞれ1%強の増加になりそうです。
2020年入試も小6の児童数の増加と9月以降の模試を見る限り昨年ほどではないにしても受験者数が増加するのは間違いありません。


入試に関する動き


共学校志向は相変わらずで、別学校(男子校と女子校)の志望者の割合は徐々に減少傾向が続いており今年もやはりそれは続いています。 またここ数年続いている大学付属校人気は2020年入試でも続いていきそうです。
早慶・GMARCHの付属はもとより、大学入試におけるメジャー私大の定員厳格化による合格者絞込みの余波は中堅私大にも及んでおり、上位から中堅までの付属校人気を後押ししています。
なお2020年の特殊事情ですが2/2が日曜日のため青山学院中等部などプロテスタント系ミッション校のいくつかが日曜日を避けて入試日(入試時間)変更を行います。入試日変更する当の学校だけでなく周辺の学校にも影響を与えるので注意する必要があります。



(1)東京・神奈川の男子校


最上位の開成(荒川区)・麻布(港区)・武蔵(練馬区)はいずれも応募者が増えそうです。特に開成の増加が大きくなる可能性が大ですが難易度が天井まで来ておりこれ以上の難化は考えにくいでしょう。

・芝(港区)
1回の上位志望者が減っています。暁星の2/1入試の新設や、本郷、攻玉社や世田谷学園の接近によるものでしょう。大きな易化はないでしょうがボーダーあたりが緩和する可能性があります。

・暁星(千代田区)
本校は2020年入試の大注目校です。都内では唯一のカトリックミッションの男子中高一貫校で、帰国生募集を含めて約75名の定員の小規模校(併設小学校からの進学者含めて1学年約170名)で、今までずっと1回入試でしたが2020年入試より2/3午後を新設し従来の2/3は2/2に移動し2回入試になります。2/2の1回は定員65名、2/3午後の2回は4科から2科入試になりますが2回は定員が70→10名と大きく減員されるために相当な難化するのは確実です

・本郷(文京区)
2021年より高校募集を停止して完全中高一貫校になりますが、2020年入試には特に影響はなく例年並みの入試になりそうです。なお近隣の巣鴨が多くの受験生を集めそうですが、入試レベルに差があるためかほとんど影響はないようです。

・成城(新宿区)
2019年の入試より高校募集を停止して完全中高一貫校になりました。男子校には珍しい(唯一の?)の女性校長である栗原卯多子先生は元都立小石川中等教育学校の校長で、着任早々グローバル教育や入試要項など次々と改革を推し進めてきましたがいよいよ完全中高一貫校になるまでにこぎつけました。
2020年入試では上記の改革が好感されたのか併願の上位層がやや増えているようです。

・駒場東邦(世田谷区)
ここ数年緩和傾向が続きましたが、今年は上位層が厚くなってやや難化する可能性があります。

・攻玉社(品川区)
長らく算数または国語の1科入試をやっていましたが2019年入試から算数1科入試のみになっています。2019年入試では相当な応募者減となりましたが、その反動か11月模試の志望者は3回の合計で10%の増加です。2020年入試では各入試回とも応募者は増加しそうです。

・世田谷学園〈世田谷区〉
2019年入試では新設した2/1午後の算数入試が人気を呼びましたが、さらに2019年大学合格実績が東大5→15名、京大1→3名などと躍進して2020年入試ではさらに応募者が増えそうです。11月の模試志望者は1回、2回、算数特選の志望者は各回とも前年比30%前後の増加です。また上位層も増えているので相当に難化しそうです。

・東京都市大付(世田谷区)
首都圏の男子校で最も多い応募者を集める人気の学校です。秋の模試を見る限りでは上位層に変化は見られませんが、チャレンジ層が増えているようです。

・巣鴨(豊島区)
長く応募者減少が続きましたが2019年入試では新設した2/1午後の算数選抜が大ヒットしました。2020年入試では算数選抜に限らず全体的に大幅に志望者が増加。11月の1回、2回の志望者は前年比50%以上の増加です。

・芝浦工大附(江東区)
2017年に板橋から豊洲の新校舎に移転し大人気となりました。都内有力理工系大学の附属校で理系色が強い学校です。中学は他大学進学を目指すカリキュラム、高校入学者は併設大進学を目指すカリキュラムで同じ学校ながら中学と高校でかなり性格が異なります。高校は2018年から女子クラスが設置されました。今のところ女子の応募者は多くはありませんが、共学1期生の現高3の女子はほぼ全員が理系です。
2020年入試では上位校との併願者もチャレンジ層ともに増加傾向です。さらにこの秋に中学校も2021年4月から共学化することが公表されましたから2021年入試では入試状況が激変するのは確実です。
2021年は現在の小5が受験する年ですが、各入試回の定員、入試日程、入試科目、選考方法は現在まだすべては決まっていませんが、決まっているのは以下の4つです。
  • ①3科入試を3回(内2回を聴解問題)
  • ②2/2午後に特色入試(英語選択あり)
  • ③男女別定員なし
  • ④帰国入試の充実

なお入試広報担当の先生に校地移転以降の変化について聞いてみたところ、

「埼玉方面、板橋、練馬の受験生は減って横浜方面が増えた。また湾岸エリアのタワーマンション居住者の子供(つまり地元の子)が増えたが、保護者はIT企業などに勤める高学歴の富裕層の方が多く、IT関係に詳しく英語教育に関心の高い方が多い。以前に比べて積極的に学校に注文をしてくる方が増えた」

とのことです。



次に神奈川の男子校について見てみます。

県内トップの栄光学園(鎌倉市)と聖光学院(横浜市中区)はともにカトリックミッションの男子校です。栄光学園と聖光学院1回はともに2/2入試で毎年のように両校間で受験生の出入りがあり、2020年入試の応募者は栄光学園が微減、聖光学院はやや増加となりそうですが両校とも難易度の変動はなさそうです。

・サレジオ学院(横浜市都筑区)
栄光学園、聖光学院、浅野等の上位校との併願者がやや増えています。そのためボーダーあたりが厳しくなる可能性があります。

・横浜(横浜市金沢区)
野球のイメージが強い学校ですが2020年より高校が共学化します。高校の説明会等では大変な人数の受験生が押しかけており大フィーバーするのは間違いありません。しかし中学の入試にはほとんど影響はなく例年並みの入試になりそうです。

・逗子開成(逗子市)
湘南地区の男子校では非常に人気の高い学校です。志望順位が高い受験生が増えており若干の難化の可能性があります。

・藤嶺藤沢(藤沢市)
得意2科目選択入試を2/1午後と2/5午前に新設しますが応募者数にも入試状況にも大きな変化は見られないようです。



(2)東京・神奈川の女子校


トップの3校、桜蔭(文京区)、女子学院(千代田区)、雙葉(千代田区)は応募者数、難易度とも前年並みになりそうです。


・豊島岡女子学園(豊島区)
2022年から高校募集が停止されて完全中高一貫校になりますが、2020年の中学入試にはほとんど影響がないようです。

・東洋英和女学院(港区)
1884年(明治17年)に六本木の現在地に設立されたプロテスタント系のミッション校で創立136年目の都内有数の伝統校です。横浜市緑区に併設大学がありますが今年の卒業生189名中併設大への進学者は11名で、他の難関大進学者が多く、2019年は東大2名、京大1名、早慶上理105名、GMARCH128名が合格しました。
2019年入試では2/3が日曜だったためB日程の入試日を2/4に移動していましたが、2020年入試では例年通りの2/3に戻り、やや難化の可能性があります。

・立教女学院(杉並区)
立教大学とは別法人ですが同じ米国聖公会系のため立教大学への推薦枠が大きく、2019年は卒業生の55%が立教大学に進学しています。付属校人気のためか全体的な志望者がやや増加、特に上位層が増えていて若干の難化の可能性があります。

・大妻(千代田区)
大妻女子大の付属校ですがほぼ他大学進学にシフトしており今春の併設大進学者は3名でした。若くしてベネッセの役員に就任し2年前に校長に就任した成島由美先生のスピード感のある改革によりIT教育やグローバル教育、また難関大合格や海外大進学の学習指導や進路指導の改革が加速しています。2019年入試より2/5に4科入試を新設し入試回が4回になりました11月の模試志望者は2/2の2回が17%増、2/5の4回は日程が遅いため前半日程で合格した受験生は欠席しますが2019年入試では予想以上の受験率でした。11月模試の4回の志望者は微増ですが受験者層がアップしているのでボーダーが上がる可能性があります。

・共立女子(千代田区)
1学年が300名と都内の女子校では最も規模の大きい学校のひとつです。堅実な女子大付属校のイメージが強い学校ですが、早慶上智やGMARCHなどの他大学進学者が増えており、2019年の併設の共立女子大への進学者は17%ほどです。2019年入試では2/2入試の応募者が678→762名と大きく増えましたが、青山学院の2/2から2/3への入試日移動の影響もあり11月模試の志望者はAが20%増、Bは32%増と大幅に増加しています。

・山脇学園(港区)
2020年入試では2/2午後に探究サイエンス入試を新設し帰国生入試も増設します。模試志望者では上位層の併願者が増えており難易度アップの可能性があります。

・恵泉女学園(世田谷区)
プロテスタント系ミッション校のため日曜日となる2/2の入試を午前入試から午後入試とし2科・4科選択となります。そのため3回の入試すべてが午後入試という珍しいケースとなります。昨年は応募者減でやや緩和していましたが11月模試の志望者は3回合計で20%の増加です。2020年入試では各回とも厳しい入試になりそうです。

・品川女子学院(品川区)
2018年に2/1午後の算数1科入試を新設し360名の応募者を集めましたが、2019年入試では応募者がすべての入試回で減少しました。11月模試の志望者は1回が17%増、2回は31%増、3回は8%増ですが、算数入試は25%の大幅減です。上位層が増えているようですから難化の可能性があり注意が必要です。

・中村(江東区)
2018年入試では応募者が大幅に落ち込みましたが今春はいく分復活しました。2020年入試では特待入試の増設や受験しやすいよう様々な要項変更をしますが、志望者数には変化はないようです。

・麴町学園女子(千代田区)
まだ一般的にはなじみがないようですが、2020年より入学後の選択でアイルランドの学校と提携したダブルディプロマが受講できるようになります。ダブルディプロマとは日本の中高のカリキュラムと海外の英語・数学・理科などの教育プログラムによる教育を同時に受けて日本の高校と当該の国の中等教育の卒業資格を得るもので、国内のいくつかの有力大学を帰国入試枠で受験できるようになり、海外大学の受験でも有利になるものです。(提携国や教育プログラムには様々なバリエーションがあります。)

・国本女子(世田谷区)
本校は今まで入学しやすいレベルの小規模な入試の学校でした。2018年4月に校長に就任した商社出身で海外勤務経験も豊富な民間人校長の島野英一先生によって、上記の麹町学園女子と同様に2020年よりダプルディプロマが導入されます。ただし麹町学園女子と異なり提携先はカナダで、また入学後の選択ではなくDD(ダブルディプロマ)コースとLA(リベラルアーツ)コースが新設され受験時のコース選択です。説明会の参加者は昨年までの人数を相当上回っているようですが、これがどの程度実際の受験に結びつくのかは初めてのことで分からないとのことです。



次に神奈川の女子校について見ていきます。

・フェリス女学院(横浜市中区)
プロテスタントミッション校のフェリス女学院は1875年(明治8年)に横浜山手の現在地に設立された創立145年目の女子学院と並ぶ日本最古の女子校です。
昨年は方針転換があったようで外に向かっての積極的な広報活動を展開し応募者が12%増となりましが、11月模試の志望者は前年とほぼ同数で2020年入試は前年並みとなりそうです。

・洗足学園(川崎市高津区)
今ではフェリス女学院とならぶ神奈川女子校のトップ校になってきました。フェリス女学院のような横浜山手という高級感のある立地や伝統校らしい重厚な歴史を感じさせるブランド力はありませんが最先端の教育の取り組みでは首都圏私学のトップを走っている学校です。2020年入試ではミッション校の入試日移動の影響もあり11月模試の1回の志望者は12%増、2回の志望者は11%増です。また志望者中の上位層が増えていますから若干の難化の可能性があり要注意です。

・横浜共立学園(横浜市中区)
プロテスタントミッション校のため2019年入試では2/3の日曜日を避けてB日程入試を2/4に移動しましたが2020年入試では定位置の2/3に戻ります。そのためB日程は11月模試の志望者が44%減とほぼ半減です。ただし過去の例から見てコアな受験者層は変わりないと思われ、難易度の大きな変動はないでしょう。

・横浜女学院(横浜市中区)
横浜山手のプロテスタントミッション校で上記の横浜共立学園に隣接しています。2019年より新設した国際教養コースが大人気となり応募者が激増しましたが、2020年入試でもその勢いを維持しています。難易度は前年並みになりそうです。

・鎌倉女学院(鎌倉市)
ミッション校ではありませんが上記の横浜共立学園との併願者が多いため入試日の重複を避けて2次を2/3から2/4に戻します。11月模試の志望者は1回が11%減、2回は9%増です。

・湘南白百合(藤沢市)
白百合学園グループのカトリックミッション校で鎌倉女学院と同じく横浜山手のトップ3校との併願者が多い学校です。中学からの募集が70名と少ないため2/2の1回入試でしたが、2020年入試では大きな入試改革が行われ、2/1午後に定員15名で算数1科入試を新設、2/2定員45名の4科入試に加え定員若干名の英語資格入試が導入されます。また2019年の卒業生は175名で現浪合わせた大学合格実績は、東大4名、東京外語大1名など国公立大25名、早慶上智99名、医学部は国公立が横浜市大医学部医学科1名、信州大医学部1名、新潟大医学部1名、浜松医科大1名など6名(大学校1名含む)、私大は東京女子医大7名、東京医大1名、東海大医学部3名、東邦医大医学部2名、聖マリアンナ医大医学部医学科3名など26名で合計33名、また海外大学にはハーバード大1名の他計3名の合格者を出すなど好成績を上げています。
そのため2020年入試では人気が上がり11月模試の志望者は2回合わせて45%増です。入試の複数化により各回の定員が縮小するため難化は避けられません。

・清泉女学院(鎌倉市)
本校もカトリックミッション校です。東京品川区五反田の清泉女子大学の付属校ですが2019年は卒業生174名中の同大への進学者は25名で14%、残りは他大進学です。主な大学実績は国公立大がお茶の水女子大1名、東京外語大1名、東京農工大1名など計15名、早慶上理60名、GMARCH46名などです。2020年入試では2/5に思考力・表現力などを測るアカデミック・ポテンシャル入試を新設します。11月模試の志望者は1回が23%増、2回は24%減、3回は17%増です。

・鎌倉女子大(鎌倉市)
前横浜市立南高校付属中校長で現在鎌倉女子大教授の高橋正尚先生の指導のもとで大改革に乗り出しています。公立出身の先生には珍しい大胆な構想力と行動力を兼ね備えた先生です。2020年から国際教養コースを新設し従来のクラスはプログレスコースとなります。入試も大きく変わり国際教養コースは今までとは異なる層が受験しレベルが上昇する可能性があります。

・カリタス女子(川崎市多摩区)
神奈川県はカトリックミッション校が多いのですが、川崎市内では唯一のカトリックミッション校です。2020年入試では読解・論述を普通の国語のテストに変更します。志望者の動向は昨年並みです。

・捜真女学校(横浜市神奈川区)
プロテスタント系のミッション校ですが、日曜日である2/2に午前・午後入試を両方実施します。

・聖ヨゼフ学園(横浜市鶴見区)
カトリックの女子校ですが2020年4月より共学化するので次回の共学校のところで触れます。

(つづく)

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