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第148話「2020年入試予想第一弾 ~9月模試から見る志望動向分析~

2019年11月1日

秋になり、中学入試の受験校選びも本格化してきています。これから数回にわたり、大手公開模試の志望動向から2020年中学入試の動向を占っていきます。今回は9月の模試からの考察です。
なお、学校名の後ろの数字は(前年9月模試志望者数)→(今年9月模試志望者数)
また()内は前年比(%)です。


(1)東京の男子校


まず最上位レベルの4校から見ていきます。

開成 1447→1433(99%)
麻布 1082→1131(105%)
武蔵 644→672(104%)
駒場東邦 619→653(105%)

・開成(荒川区)
2019年入試の応募者は1234→1231名と微減でしたが、9月模試の志望者は1%減で前年並みです。

・麻布(港区)
2019年入試の応募者は933→1037名と11%増でしたが9月模試の志望者は5%増ですから2020年入試の応募者もさらに増えるでしょう。2019年春の東大合格者は久しぶりに100名と3桁の大台に乗ったので上位層が増える可能性もあります。

・武蔵(練馬区)
2019年入試の応募者は6%増でした。今回の模試の志望者は4%増ですから、2020年入試の応募者は増加する可能性大です。なお本校OBで埼玉県立浦和高校の前校長だった杉山剛士先生がこの4月に校長として着任されました。

・駒場東邦(世田谷区)

応募者は2016年入試から3年連続の減少でしたが2019年は513→548名と増加しました。なお2019年の東大合格実績は47→61名と大きく回復しています。
9月模試の志望者も5%増ですから完全復調しているようで、2020年入試の応募者は昨年に続いて増加するでしょう。



次に上記の学校に続くレベルの5校の男子校を見ていきます。

海城 1回 543→614(113%)
2回 1065→1109(104%)
早稲田 1回 721→782(108%)
2回 1008→1026(102%)
1回 558→485(87%)
本郷 1回 486→463(95%)
2回 1141→1155(101%)
巣鴨 Ⅰ期 183→322(175%)
Ⅱ期 323→472(146%)

・海城(新宿区)
2019年の1回入試の応募者は463→508名と10%増でしたが、9月模試の1回の志望者は13%増ですから、2020年入試では2年続きで応募者増になる可能性が大です。

・早稲田(新宿区)

学年の約半数が早稲田大学へ内部進学し、残りの約半数は東大や慶應などの難関大を受験して進学している半付属校です。前年は1回の応募者が7%増で、今年の9月志望者は8%増ですから2020年入試は厳しい入試が予想されます。

・芝(港区)
1回入試の9月模試の志望者は13%の大幅減です。このままいくと2年連続の応募者減になる可能性があります。中下位層が本郷、巣鴨や世田谷学園に回っているのかもしれません。

・本郷(豊島区)
2019年入試で応募者が大きく増えましたが、9月模試の志望者数で見るとやや落ち着きそうです。前年の倍率上昇で敬遠されたのでしょう。かなり校風が違うのですが近くの巣鴨に回った受験生もいるものと思われます。

・巣鴨(豊島区)

巣鴨の模試志望者がⅠ期75%増、Ⅱ期46%増と激増しているのが目につきます。この学校はかつてハードなイメージが強くて敬遠されたのか応募者減が続いていました。
それに対する反動とともに2019年入試では2/1午後に算数選抜入試が新設され、これに受験生が集中し508名の応募者を集めました。
しかし他の入試回の応募者はⅠ期が1名減、Ⅱ期は17名減で、算数選抜は476名が受験し173名が合格(2.8倍)、300名以上の不合格が出る大激戦となりました。そのため今年は志望者がⅠ期、Ⅱ期にも分散したものと思われます。
またずっと低下傾向が続いていた東大合格者数も12→11→21名と大きく回復したのも評価されているのでしょう。なお9月模試では残念ながら算数選抜の志望者集計が2社分しかないのでここでは掲載していません。



以下の5校については模試データのみ掲出します。

城北 1回 293→289(99%)
2回 566→689(122%)
桐朋 1回 273→320(117%)
2回 633→647(102%)
攻玉社 1回 322→381(118%)
2回 489→479(98%)
世田谷学園 1次 155→232(150%)
2次 349→433(124%)
東京都市大付 1回 105→101(114%)
2回 91→101(113%)



次に有力私大付属男子校の志望状況を見ていきます。

早大高等学院 568→603(106%)
学習院 1回 307→403(131%)
2回 381→346(91%)
立教池袋 1回 337→460(136%)
明大中野 1回 829→914(110%)

2020年にセンター試験が廃止され、新テスト導入で大学入試が大きく変わることに対する不安から大学付属校への志向が高くなっています。
また入学者が定員を超過した大学には補助金をその分削減するという文科省の方針が示されて、今まで定員を超える入学者を入れていた多くの大都市圏の難関私大が合格者を絞り込んで難化していますから、これも付属校志向を強めているでしょう。
また多くの付属校も以前のように併設大学のブランド力に頼るだけではなくグローバル時代を迎えて新たな取り組みを始めており、中学・高校の教育内容の独自性をしっかりと発信するようになってきています。

・早稲田大学高等学院(練馬区)
慶応系の付属校と並びほぼ全員が早稲田大学に進学する完全な付属校です。2018年入試では407→478名と17%の大幅増となり、2019年入試では敬遠傾向が出て応募者が3%減でした。
9月模試の志望者数は前年の応募者減の反動か6%増です。

・学習院(豊島区)
併設大への進学は半分弱で、残りは国公立大や早慶上智大などの難関私大へ進学する進学色の強い半付属校です。2018年入試は30%の大幅増、2019年入試の応募者も微増でした。
9月模試の志望者は307→403名と31%の大幅増ですから2020年入試では応募者の増加と倍率急上昇が予想されます。

・立教池袋(豊島区)
2019年入試の1回の応募者は17%の大幅増でした。それにもかかわらず9月模試の1回志望者は337→460名と36%と激増しています。今後多少とも模試志望者が減っても2020年入試は厳しい入試になるのは間違いなさそうです。

・明治大学附属中野(中野区)
2018年入試の応募者は1回・2回とも微増でしたが2019年入試では1回の応募者が896→1139名と27%の大幅増でした(2回は13%増)。9月模試の1回の志望者は829→914名と10%増ですから高い人気はまだまだ続いています。



(2)女子校


まず最難関レベルの4校から見ていきます。

桜蔭 709→734(102%)
女子学院 1009→1034(102%)
雙葉 457→477(104%)
豊島岡女子 1回 1216→1223(101%)
2回 515→508(99%)

・桜蔭(文京区)
2019年入試で応募者が533→529名と微減でした。9月模試の志望者数は709→724名ですから微増ですが、入試の難易度に影響を与えるようなことはないでしょう。
なお今春の東大合格者数は74→66名と8名減でしたがそれでも全国順位は6位でもちろん女子校ではダントツのトップです(2位は豊島岡女子29名)。

・女子学院(千代田区)
2017年入試以降応募者が676→760→794名と増え続けていましたが、9月の模試志望者は1009→1034名と2%増ですからまだ勢いを維持しています。
2020年度入試では応募者が大きく増えることはないでしょうが、2019年入試並みの厳しい入試(743名が受験して282名が合格、461名が不合格)になりそうです。

・雙葉(千代田区)

内進生約80名を除き定員100名の小規模なカトリックミッション校です。近年では国公立大や医学部志向が強くなっていて、今春は国公立大47名、早慶上理211名、GMARCH118名、医学部76名、薬学部等他の医療系学部が43名でした。
卒業生180名という学校規模を考えれば相当な実績です(特に医学部)。かつては小規模ながら固定ファンに支えられた手堅い入試で、(ミッションショックの年を除いて)応募者数の大きな変動は殆どありませんでしたが大学合格実績の躍進のためかここ数年様子が変わってきています。
2019年入試では307→375名と22%の大幅増でしたが、9月模試の志望者は4%増と好調を維持していますから厳しい入試が続きそうです。

・豊島岡女子(豊島区)
この数年の受験者数は1回が約1、000名、2回が約500名です。9月模試の志望者数から見て2020年入試でもこの水準が続きそうです。



次に上記4校に続くレベルの5校を見ていきます。

鷗友学園女子 1次 513→568(111%)
2次 728→715(98%)
吉祥女子 1回 619→583(94%)
2回 626→815(130%)
頌栄女子学院 1回 320→297(93%)
立教女学院 535→568(106%)
白百合学園 378→440(116%)

・鷗友学園女子(世田谷区)
3回入試から2回入試に変わって3年になり、すっかりこの入試が定着しました。2017年から2019年までの3年間の応募者の推移は、1回が466→571→601名、2回は486→509→642名と増加が続いています。9月の模試志望者は2回が微減ですが1回は11%増ですから厳しい入試が続きそうです。

・吉祥女子(武蔵野市)

多摩地区の女子校で入試レベル、大学合格実績ともにトップの人気校です。2019年春の現役大学進学率は74.9→80.5%と大きく伸び、国公立大は75→62名と減っていますが、合格者絞り込みで厳しくなっている難関私大は早慶上理が187→222名、GMARCHが299→309名と多くの学校とは逆に増加しています。
また入試では鷗友学園女子と同様に2017年から2019年までの3年間の応募者の推移が、1回が466→571→601名、2回は745→831→899名、3回も573→595→589名と3回の入試すべてで増加が続いています。9月模試の志望者数から見ると1回は619→583名と6%減ですが、2回は625→815名と30%の大幅増となっています。

・頌栄女子学院(港区)
創立135年目の伝統校でプロテスタント系のキリスト教学校で、都心にありながら緑に恵まれた歴史を感じさせられるキャンパスです。帰国生が多く英語に強く難関私大の文系学部に強い学校でしたが、近年では国公立大や,医学部などの医療系学部や自然科学系学部などに多くの合格者を出すようになっています。
2019年入試は前年の応募者急増の反動で1回の応募者が346→308名で11%減、さらに9月模試の志望者も、鷗友学園女子などとの競合があるのか1回は6%減です。なおこの学校は追加合格や補欠繰り上げ合格を出しません。

・立教女学院(杉並区)
創立142年目の米国聖公会系のミッション校で、女子学院についで都内最古の女子校の一つです。併設の立教女学院短大への進学者はほとんどいませんが、姉妹校の立教大学へは推薦入学制度により100名前後が進学します。
2019年入試の応募者は291→338名と16%の大幅増。9月模試の志望者数は6%増ですから2020年入試ではさらに増加する可能性があります。

・白百合学園(千代田区)

カトリック系ミッション校で1学年170名前後の小規模校です。2019年の大学合格者は国公立大27名、早慶上理148名、GMARCH148名です。また医学部医学科合格者が非常に多く医学部・歯学部・薬学部の医療系3学部への進学率は31%になります。
2019年の応募者は256→311名と21%の大幅増でしたが、9月模試の志望者は378→440名と16%増で2020年はさらに厳しい入試になりそうです。

(つづく)

[次回予告] 「9月公開模試から見る2020年中学入試動向(2)」

今回に続き9月模試の志望者から東京の共学校および神奈川・千葉・埼玉の男子校・女子校・共学校の志望動向を見ていきます。

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