コラム「そうだったのか!中学入試」
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第145話「動き出した2020年中学入試(1)

2019年7月24日

今回は予定を変えて2020年度入試に向けた入試要項の変更を中心とした動きをお伝えします。
重要な変更はすでに公表されている学校も多いのですが、今後8月にかけて発表される学校もあるので、今回の報告は1回目です。

近年の中学入試では「適性検査型入試」「思考力入試」「プレゼン入試」、さらには「英語(選択)入試」などの「新タイプ入試」が急速に拡大しています。
そして2018年入試~2019年入試とここ2年間では中堅上位校での入試回の増設、特に午後入試の新設や算数1科目入試の新設をする学校が目立ちます。

以下に入試状況に影響を与えそうな主な入試変更についてお伝えします。


1.新規中学開校

2019年4月の新規開校は私立が2校、公立が1校で計3校です。

・ドルトン東京学園中等部(調布市)
目黒区にあった高校単独男子校の東京学園高校(募集停止)が河合塾のバックアップによって調布市の新校舎に移転して共学の完全中高一貫校として生まれ変わった学校です。
塾・予備校を母体とする私立中高は全国にいくつかありますが、東京では初めて(神奈川には公文国際学園があります)。 「ドルトンプラン」とは約100年前にアメリカで生まれた教育で、生徒の知的な興味や探究心を原点にする「学習者中心教育」でアメリカ・ヨーロッパをはじめ世界中に広がっています。
開校初年度入試では100名の募集定員に対し356名が受験し、286名が合格、入学者は約140名でした。

・細田学園中学校(志木市)
高校は1921年に開校した創立99年目の学校です。1999年に共学し現校名になり、2015年には新校舎が完成しています。
今年開校した中学は定員が男女100名で6回の入試(帰国入試除く)で応募総数が393名、受験者総数が278名、合格総数は104名で入学者は男子14名、女子17名、計31名でした。

・さいたま市立大宮国際中等教育学校(さいたま市大宮区)

さいたま市立大宮西高校を母体校として今春開校した公立中高一貫校。県内では3校目ですが、他の2校は併設型の中高一貫校なので初の中等教育学校となります。開校初年度入試では80名の募集定員に対し一次の応募者が1,010名、受検者が996名、二次の合格者は定員通りの男女各40名でした。なお適性検査には英語による出題があり話題になりました。

・2020年 茨城県立中高一貫校5校開校
2020年には茨城県で県立の中高一貫校が一挙に2020年に5校、さらに2021年には3校、2022年に2校合わせて10校が開校します。これにより茨城県の県立中高一貫教育校は既存の3校(県立日立第一高校附中、県立並木中等教育学校、県立古河中等教育学校)と合わせて13校(併設型10校、中等教育学校3校)になります。

2020年の開校は以下の5校です。

  • ・県立太田第一(常陸太田市)
  • ・県立鉾田第一(鉾田市)
  • ・県立鹿島(鹿嶋市)
  • ・県立竜ヶ崎第一(龍ヶ崎市)
  • ・県立下館第一(筑西市)

いずれも併設型一貫校で募集定員は全て40名です。
これだけ一気に県立中高一貫教育校が開校すれば県内の私立中の入試にも相当な影響が出そうです。

2021年以降の5校の開校については次回にお伝えします。


2.大学系列校化

2019年より大学系列校化

・目黒日本大学中学校(目黒区)
本校は目黒権之助坂下(目黒川の手前)にあるJR山手線・東急目黒線・東京メトロ南北線・都営三田線の目黒駅から徒歩5~6分の非常にアクセスの良い学校です。
以前は日出中学高校という女子校でしたが、2005年の高校が共学化、2006年には中学校も共学化されました。2017年に日本大学と準付属校契約を締結し、2018年には創立115年を迎え、2019年4月の目黒日本大学中学高校としてスタートしました。
日大系列化初年度の中学入試は、募集定員が男女40名(帰国生含む)で12/16午前・午後の帰国入試と2/1午前・午後、2/2午前・午後、2/4午後の5回の一般入試で応募総数677名、受験総数400名、合格者総数119名(内奨学生17名)、倍率は3.4倍でした。
昨年までの入試状況とは全く様変わりして倍率・難易度が急上昇。併願校は日大(日吉)、日大第一などの日大系が多いのはもちろん、慶應中等部、青山学院、中央大附、法政第二、明大中野八王子などの難関私大付属校、さらに青稜、多摩大目黒、文教大付、八雲学園などの近隣の共学中堅校、また別学校は芝浦工大附、高輪、香蘭女学校、トキワ松学園などでした。
2020年入試では2/1午後に理数入試(特待入試)が新設され、2/4午後の2科入試は特待入試を兼ねるようになります。

・青山学院大学系属浦和ルーテル学院中学校(さいたま市緑区)

本校は米国のプロテスタント教会の宣教師によって設立されたミッション校で小学校と中学校・高校が併設されています。
神奈川の青山学院系属横浜英和中高に続き、2018年に同じプロテスタント系ミッション校の青山学院大学と系属校協定を締結し2019年4月より正式に系属校となり校名も「青山学院大学系属浦和ルーテル学院」に変更されました。
小学校は1学年75名ですが、小学校からの内部進学は例年50名程度、中学校からの公募は25名、高校からの公募は約50名です。しかし近年は中学、高校とも応募者・入学者が減り気味でしたが、青山学院大学系属化によって人気が急上昇し応募者が99→307名といきなり3倍以上に増加です。

2020年には大学系列校化する学校はありませんが、今後さらに増えていく可能性があり、人気を左右する可能性があるので注目していく必要があります。


3.共学化

首都圏、特に東京と神奈川の私立中学・高校で共学化する学校が続いています(千葉・埼玉はもともと別学校が少なく、多くが共学校です)。共学化は学校の在り方の根幹にかかわる大きな変更ですから、当然のことながら校舎・施設の改善や制服の改定、カリキュラム改訂やコース制の改編、部活動の新設、教員の採用(男子校からの共学化の場合は女性教員の補充、女子校からの共学化の場合は男性教員の補充、)などの大掛かりな学校改革となります。また入試においても、共学化する学校はもとより周辺の学校にも大きな影響を与えます。

まずこの2年間で共学化した学校は以下の6校です。

・2018年

  • 文化学院大学杉並(杉並区)
  • 八雲学園(目黒区)
  • 青山学院横浜英和(横浜市南区)

・2019年

  • 武蔵野大学中学(西東京市)
  • 桐蔭学園中等教育学校(横浜市青葉区)
  • 横浜富士見丘(横浜市旭区)

このうち桐蔭学園中等教育学校は男子校からの共学化で、他の7校は全て女子校からの共学化です。なお桐蔭学園中学校(男子部、女子部)は併学校でしたが募集停止となり、中学からの募集は中等教育学校に一本化されました。
そして2020年4月の共学化予定は次の3校です。

・2020年

  • かえつ有明(江東区)
  • 品川翔英(現小野学園中・品川区)
  • 聖ヨゼフ学園(横浜市鶴見区)

この内、かえつ有明は別学(中1~高1)から全ての学年を共学に戻すものです。
また品川翔英(現小野学園中)と聖ヨゼフ学園は女子校からの共学化です。

品川翔英
中学の募集は男女40名で、4科型で30名、適性検査型で10名の計40名の募集の予定です。共学化と同時に難関大学~中堅大学を目指す進学校への転換を目指しています。なお2020年入試より高校も同時に共学化します。

聖ヨゼフ学園
本校は鶴見寺尾の高台にあるカトリックの学校で、県内のカトリック校で共学化は初めてです。併設小学校(共学)では国際バカロレア(IB)のPYP(初等教育プログラム)を導入しており、中高は共学化とともにMYP(11~16歳対象のIBの教育プログラム)導入のための準備を着々と進めています。2021年には認定される予定で2021年にはMYPが完全実施になります。


4.複数回入試の新設

首都圏の私立中学で入試回が1回の学校は、2018年入試の段階で、

【東京】開成、麻布、武蔵、桜蔭、女子学院、雙葉、駒場東邦、暁星、白百合学園、立教女学院、香蘭女学校、慶応中等部、早大学院、早実、青山学院の16校

【神奈川】栄光学園、浅野、フェリス女学院、横浜雙葉、湘南白百合学園、慶應普通部、慶應湘南藤沢の7校

の計23校でした。
ところが2019年入試で香蘭女学校が2/2午後に入試を新設し2回入試となりました。
そして2020年入試では、東京・神奈川の準難関校2校が2回入試を新設します。

・暁星(千代田区)

1888年(明治21年)創立のカトリックの男子校で、長いこと2/3に4科の1回入試で定員約75名を募集していましたが、2020年入試より以下のように変更されます。
  一般1回 2/2午前 約65名 4科(算国理社)
  一般2回 2/3午前 約10名 2科(算国)
帰国入試 12/2午後 若干名 国算英または仏語、
     英語または仏語面接
募集人数は併設小学校からの内部進学者を除いた数です。

・湘南白百合学園(藤沢市)
2020年入試より2/1に算数1科目の午後入試を新設し2回入試となります。
*次の算数1科目入試の新設の項を見てください。


5.算数1科目入試の新設

算数1科目入試は男子校では高輪、攻玉社、鎌倉学園、2019年よりは巣鴨、世田谷学園でも行われ、女子校では2018年入試より初の算数1科目入試が大妻中野、普連土学園と品川女子学院で導入され話題を呼びました。
2019年入試では山脇学園で国語または算数1科目の午後入試が導入されています。算数1科目入試を導入している学校の多くは中堅上位(市進SS55前後)のレベルです。また女子校では算数1科目入試で受験生を集めるのは難しいと考えられていましたが、品川女子学院で高いレベルの多くの受験生を集めたために、2020年入試では女子校でも算数1科目入試が増えます。

・田園調布学園(世田谷区)
2/1に算数1科目の午後入試新設(60分、100点)
1回   2/1午前 100→80名、4科
午後入試 2/1午後 20名    算数  新設
2回   2/2午前 70名    4科
3回   2/4午前 30名    4科
* 理社の時間30→40分に。
* 面接を廃止し、かわりに合格者の面談実施(2/11頃を予定)

・富士見(練馬区)
2/2午後に算数1科目入試を新設。詳細は9月に公表。

・啓明学園(昭島市)
2/1午後に定員10名で算数1科目の特待入試を新設。得点率85%で特待生に採用される。

・共栄学園(葛飾区)
2/1午後の特待選抜入試(特進コース)10名を算数または国語の1科目4技能入試に変更。

・文化学園大学杉並(杉並区)
2/2午後に行っていた算数1科目入試を2/3午後にも増設(算数または英語1科目選択)。

・湘南白百合学園(藤沢市)

本校は江ノ島や富士山を眺望できる高台(片瀬目白山)にあるカトリックの女子校でモノレールで通学する珍しい学校です(湘南モノレール片瀬山駅徒歩7分)。
東京九段の白百合学園、箱根の函嶺白百合学園をはじめ、函館、青森、仙台、熊本の八代等に姉妹校があり、大学は調布の白百合女子大と仙台白百合女子大があります。
中学からの募集は70名(併設小学校からの内部進学は約100名)と小規模募集ですが鎌倉女学院と並び神奈川女子御三家(フェリス女学院、横浜雙葉、横浜共立)の併願校として知られています。
2020年に大きな入試改革が行われることが発表され大きな注目を集めましたが、7月に入り詳細が発表されました。
帰国  1/10→12/21 10名
第1回 2/1午後 算数1科 15名
第2回 2/2午前 4科または国算+英語資格 60→45名

今まで帰国生入試と2/2の一般入試(4科)のみの入試でしたが、一般入試が2/1午後の算数1科目入試(15名)と2/2の4科入試(45名)と英語資格入試(若干名)の3つの入試となり、一般入試の面接は廃止、また帰国入試は12月に早期化されます。 
2/1午後の算数入試の集合時間は15:00と16:00に設定され、午前中にフェリス女学院などを受験し面接を終えてからでも間に合うような時間設定になっています。算数1科目入試の模擬問題はHPで公表されています。
なお2019年の卒業生175名の大学合格実績(現浪計)は非常によく、東大4名、東北大1名、東京外語大1名、お茶の水女子大1名、国際教養大1名など計25名、東大合格のうち1名はハーバード大学にも合格しています。難関私大は早慶上智99名、MARCH120名です。また医学部は国公立大医学部が7名、私大医学部が30名と医学部も多く、理系志望者も半数近くになるとのことです。


6.日曜日にかかわるプロテスタント・ミッション校の入試日・入試時間帯変更

2019年は2月3が日曜日でしたが、2020年は2月2日が日曜日です。そのためいくつかのプロテスタント・ミッション校で入試日の変更が行われます。なお同じキリスト教系でもカトリック・ミッション校は曜日による入試日の変更は行いません。
以下の4校はいずれも有力校で周辺の学校にも影響がありそうです。

  • ・青山学院
    2/2→2/3(前年日曜日を避けて2/2の移動したのを2/3に戻す)

  • ・恵泉女学園2回
    2/2午前→2/2午後(2/2は日曜日なので、入試日は変えないが、教会に行く午前を避けて午後入試に変更)

  • ・東洋英和B
    2/2→2/3 (青山学院と同じ)

  • ・横浜共立学園B
    2/4→2/3(例年の日程に戻る)


7.新コース開設

・国本女子中(世田谷区)
カナダ・アルバータ州教育省と提携してALBERTA州立学校としての認定を受けて、ダブルディプロマコースを設置し、これにより「KAIS(KUNIMOTO ALBERTA INTERNATIONAL SCHOOL)」の Middle Programを2020年にスタート、Diploma Programを2023年までに開設する。
中学校の “KAIS Middle Program”では英語の授業を週12時間行う。
国本女子高校でDDコースの授業を受けると同時にKAISに国内(校内)留学することにより、高校卒業時には、日本とカナダ両方の高校卒業資格(ダブルディプロマ)を取得できる。カナダ人の先生の担当の時間数やカリキュラムの詳細は検討中。なお先行して実施している文化学園大学杉並のダブルディプロマはBritish Columbia州との提携で基本的には同じだが細部に違いがあるとのこと。

・聖ドミニコ学園(世田谷区)
本校は中学からの入学者と併設小からの内進生と合わせて1学年が60~70名前後の小規模校です。中学の募集定員は50名ですが、実際の入学者は10数名と非常に少ないようです。2018年5月に「21世紀型教育」の強力な推進者として知られる石川一郎先生(前かえつ有明中高校長で現在は大阪府寝屋川市のカトリック校、香里ヌベール学院学院長、「21世紀型教育機構」理事)をカリキュラム・マネージャーとして迎え大規模な学校改革に取り組んでいます。
2019年より「インターナショナルコース」と「アカデミックコース」の2コース制がスタートしています。 「インターナショナルコース」は英語、数学、理科の授業をすべてネイティブ教員による英語イマージョンで行なう(日本人教員とのティームティーチング)、海外型のプロセス重視学習に特化した教育を行います。「アカデミックコース」は課題解決型学習を中心に据えた教育を行います。
なお2020年入試では以下の変更があります。
帰国 11/30に帰国生入試を定員10名で新設
1回 2科または適性→2・4科
2回 2・4科→2科
3回 「インターナショナルコース」の入試と「インター二期」では英語入試を導入、3回「アカデミックコース」の入試では思考力入試を導入します。
4回アクティブラーニング型入試→2科


8.高校募集停止(完全中高一貫校化)

中高一貫校で高校募集を停止して中学募集に一本化して、完全中高一貫校化する学校が増えているのはご存じのとおりです。
直近の3年間では、首都圏の中高一貫校で以下の4校が高校募集を停止しています。

  • 2017年 東邦大東邦
  •  
  • 2018年 開智日本橋、三田国際学園
  •  
  • 2019年 成城

2020年には高校募集を停止する予定の学校はありませんが、2021年以降に公立・私立の有力校の高校募集停止が公表されています。
私立中高では高校受験で人気の2校が高校募集を停止するので高校入試では影響が甚大ですが、中学入試においても完全中高一貫校化でさらに人気が上がる可能性があります。

  • 2021年 本郷
  •  
  • 2022年 豊島岡女子学園

本郷は高校募集を停止すると同時に中学の募集定員を240→280名に増員します。 また豊島岡女子学園は高校募集を停止しますが、中学の募集人員には変更はありません。

都立の中高一貫校は中等教育型5校と併設型5校、合計10校ありますが、都教委は併設型5校の高校募集を以下のように順次停止すると発表しました。

  • 2021年 都立富士高校附、都立武蔵高校附
  •  
  • 2022年 都立両国高校附、都立大泉高校附
  • *都立白鷗高校附は施設校舎の改善のため時期未定

また都教委の発表では5校とも高校募集停止と同時に中学募集を増員するとのことですが、増員の規模はまだ発表されていません。しかし教室数などの物理的な収容人数の条件から1クラス(40名)の増員になるものと思われます。また高校募集停止後に併設型一貫校のままで行くのか中等教育学校へ転換するのかは現時点では不明です。

だいぶ先の話ですが千葉市立稲毛高校附が2022年に中等教育学校へ移行するので、2025年に高校募集を停止します。

(つづく)

[次回予告] 「動き出した2020年中学入試(2)」

次回は入試日程の変更、定員の変更、試験科目・選抜方法の変更を中心として2020年入試の動向を見ていきます。

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