コラム「そうだったのか!中学入試」
トップページ > コラム「そうだったのか!中学入試」 > 第144話「2019年 大学合格実績が伸びた注目校(1)」

第144話「2019年 大学合格実績が伸びた注目校(1)

2019年6月7日

今回と次回は大学合格実績が伸びている学校について見ていきます。
1回目は東大合格者トップ10や国公立大合格実績にスポットを当てて見ていきます。


1.東大合格者数

上位校の東大合格者数の5年間の推移を見ながらいくつかの視点で考えて見ます。

*学校名の後ろの( )内は今春の卒業生数。%は現浪合わせた合格者(現浪計)の今春の卒業生に占める割合

(1)東大合格者数1位~10位

1位 開成(401) 185→171→160→175→187(47%)
2位 筑波大附駒場(163) 112→102→102→109→118(72%)
3位 麻布(308) 88→94→79→98→100(32%)
4位 聖光学院(231) 74→71→69→72→93(40%)
5位 灘(219) 94→94→94→91→74(34%)
6位 渋谷教育学園幕張(346) 56→76→78→48→72(21%)
7位 桜蔭(228) 76→59→63→74→66(29%)
8位 駒場東邦(233) 82→57→52→47→61(26%)
9位 栄光学園(187) 45→57 →62→77→54(29%)
10位 久留米大附設(202) 37→36→27→23→50(25%)

これを見ていくつか注目される点をあげてみれば、

①10位までの10校中8校は前年と同じ顔ぶれです(順位は変わっています)。駒場東邦が1年でベスト10に復帰し、福岡県の久留米大附設が初のベスト10入り、そのかわり昨年は同数で9位だった海城と都立日比谷が11位以下になりました。

②10校の内訳は男子校が8校,女子校が1校,共学校が1校です。また設置者別では国立大付属校が1校, 私立校が9校で、今年は公立校がいなくなりました。
学校所在地では東京が5校,神奈川が2校,千葉、兵庫と福岡が各1校です。

③増減が大きい学校


今年の増加で目立つのは聖光学院(写真)の21名増, 渋谷教育学園幕張の24名増、久留米大附設の27名増です。なお聖光学院の93名と久留米大附設の50名は過去最高実績です。
また減少が大きいのは灘の17名減、栄光学園の23名減です。


④合格者の割合


学校規模を考慮して合格者数ではなく合格者数(現浪計)の卒業生数に占める割合(%)で見ると筑波大附駒場(写真)の72%が群を抜いています。これに次ぐのが40%台の開成と聖光学院で,さらにこれに次ぐのが30%台の灘、麻布です。
渋谷教育学園幕張は学校規模が大きいため割合では10校中最も低い21%です。




*なおベスト10初登場の久留米大附設は久留米大学の「附属」ではなく並列的な関係の「附設」で久留米大への内部推薦制度がなく久留米大への進学者はほとんどいません。国公立大志向、医学部志向が非常に強い学校です。(例年、九州大学合格者40~60名中半数は医学部合格者です)。



(2)東大合格者数12位以下(首都圏のみ)

以下は首都圏の学校に限定した40名台から20名台までのランキングです。

40名台
都立日比谷(321) 37→53→45→48→47(15%)
海城(328) 56→30→49→48→46(15%)
東京学芸大附(326) 54→57→46→49→45(15%)
県立浦和(400) 27→22→32→22→41(10%)
30名台
浅野(266) 40→30→32→42→38(14%)
筑波大附(238) 17→32→37→38→32(13%)
早稲田(300) 28→38→30 →38→30(10%)
20名台
豊島岡女子(344) 30→41→21→21→29 (8%)
女子学院(224) 30→34→36→33→27(12%)
横浜翠嵐(419) 14→20→34→14→21(5%)
巣鴨(223) 21→12→12→11→21(9%)
武蔵(170) 27→26→32→27→22(13%)
渋谷教育学園渋谷(201) 33→30 →25→25→19(9%)
県立湘南(357) 19→16→18→25→19(5%)
県立千葉(319) 23→32→18→22→19(6%)

①首都圏の公立トップ校では都立日比谷が突出していますが,今年は埼玉の県立浦和が大きく躍進し都立日比谷に迫る勢いです。


②海城はベスト10(2018年は9位)から落ちて12位になってしまいましたが、合格者数は48→46名と2名減っただけです。しかも国公立大合格者は総計178名(現浪計)で、医学部・医学科は国公立大が35名、私大が128名と医学部志向が非常に強く、理系の上位層は相当に医学部受験のシフトしている上での東大46名ですから内容的には立派な合格実績といえます。


③女子学院と豊島岡女子は数年来シーソーゲームを続けていて、この2年間は女子学院が上回っていましたが、今年は豊島岡女子が増え、女子学院が減って順位が入れ替わりました。2020年入試の応募者数に影響があるかもしれません。


2.国公立大合格実績が伸びた注目校

 ここでは御三家などの東大などの最難関国公立大の実績に定評のある学校以外の学校について見ていきます。
*文部省所管外の大学校のうち防衛医科大学校のみ国立大学及び国立大学医学部の合格者数に含めています。

 本郷(豊島区)

 本郷は都内男子校の中では御三家、海城、早稲田につぐグループの学校です。今春の卒業生は309名で国公立大学合格者は現浪計で92→94名と2名増です。東大合格者は17→5名と大きく減りましたがこれは医学部への志向が強くなっている影響もあるでしょう。
 また文系の生徒は東大・一橋大をあきらめると早慶などの私大に流れますが、理系では東大・東工大が無理と判断すれば東北大などの地方の国立大を受験するように変わってきています。理系では地方国立大でも都内の有名私大より優れた設備があり優秀な教授陣を揃えてすぐれた実績を挙げている大学も多いので、東大などの最難関大学や医学部医学科だけではなく上記のような地方の国公立大の実績にも目を配る必要があるでしょう。

 世田谷学園(世田谷区)

 世田谷学園は仏教系(曹洞宗)の学校で、都内男子校の中では芝・本郷・攻玉社に次ぐレベルの学校です。今春の卒業生は214名で国公立大学合格者は現浪計で94名。そのうち東大合格者は5→15名と大躍進で、最難関国立4大学(東大・京大・一橋大・東工大)でも京大1→3名、一橋大1→5名、東工大10→13名と増え合計で17→36名、また旧帝大に一橋大・東工大を加えた難関国立9大学でも合計で25→56名と大幅増です。
 また医学部医学科も多くの現役合格者を出しています。国公立大医学部医学科(防衛医大を含む)では10名中8名が現役、私大医学部医学科は28名中21名が現役という高い現役率です。 なお2019年中学入試より2/1午後に定員30名(うち20名は特待)の算数1科目入試が新設されて425名もの応募者を集めました。

 湘南白百合学園(藤沢市)


湘南白百合学園は江の島に近い高台の学校で今春の卒業生は175名と小規模なカトリックの女子校です。中学入試では横浜山手のフェリス女学院などの神奈川女子御三家の併願校として知られています。

 大学進学では早慶などの難関私大への合格者が多く国公立大合格者はごく少数で、ほとんどの生徒はMARCH以上の私立大学へ進んでいました。ところが2018年に2名の東大現役合格者が出て注目していたら、2019年には東大4名(文Ⅲ1名、理Ⅰ3名)、国公立大医学部・医学科が1→6名と躍進。また東大文Ⅲに合格した生徒はハーバード大学にも合格しています。
 なお長いこと2/2の1回入試の学校でしたが、2020年入試より2/1にも算数1科目入試を新設し2回入試になることが公表されています

 東京都市大等々力(世田谷区)

 東京都市大等々力は共学化して10年目を迎えました。中学の共学1期生は2016年3月に卒業。2019年春の卒業生は4期生です。

 この5年間の国公立大学の合格者数の推移を見ると、

  ‘19 ‘18 ‘17 ‘16 ‘15
国公立大 48 42 32 30 11

 中学共学1期生が卒業した2016年に大きく伸び、2018年、2019年とさらに伸びているのがわかります。ついでに難関私大の合格者数の5年間推移を見ておくと、

  ‘19 ‘18 ‘17 ‘16 ‘15
早慶上理 109 94 63 50 56
GMARCH 252 180 161 178 100

 国公立大だけではなく定員厳格化による合格者絞込みで難化している上位私大でもこれだけ合格者を増やしている学校は非常に珍しいでしょう。
 なお2019年入試では近年の受験者層の学力上昇を踏まえ、3コースのうち一番下の特進コースの募集が停止になり、S特選コースと特選コースの2コース制になっています。

 開智(さいたま市岩槻区)


 国公立大は総数で92→119名と大幅増です。東大は16→13名と減りましたが、これは国公立大の医学部医学科が6→13名と大きく増えたためでしょう。13名中10名は現役合格です。


今まで国立中と私立中について見てきましたが、最後に最難関国立4大学合格者数が伸びている公立一貫校の2017年~2019年の合格者数推移を紹介しておきます。

都立桜修館中等教育学校 12→10→22
都立小石川中等教育学校 31→26→38
都立三鷹中等教育学校 4→7→10
都立武蔵高校附中 15→21→30
横浜市立南高校附中 0→11→12
(2018年に1期生が卒業)

(つづく)

[次回予告] 「2019年大学合格実績が伸びた注目校(2)」

次回は難関私大実績が伸びた学校をみていきます。また個別に大きく実績を伸ばしている注目校をいくつかピックアップして見ていきます。

そうだったのか!中学入試 コラムTOPにもどる

  


TOP