コラム「そうだったのか!中学入試」
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第142話 「2019年中学入試速報第10弾 ―― 国立大付属・公立中高一貫校 ――」

2019年4月23日

1.国立大附属校

全国に国立大学の付属中学校(中等教育学校4校を含む)は74校あり、そのうち高校まであるのは中等教育学校4校を含めて22校です。また首都圏の1都3県には東京に8校、神奈川に2校、千葉が1校、埼玉は1校で合わせて12校がありますが、高校まであるのは東京の8校だけです。近年では国立大付属校で併設大学への内部推薦制度のある学校もありますが、定員が少なく選考基準も厳しいので、私立大付属校のような一定の基準を満たせばエスカレーター式に進学できる学校ではありません。また中学までしかない学校と高校まである学校では入試状況が大きく異なります。

学校名の右の数字は2018→2019年の応募者の推移、( )内は前年比(%)、および実質倍率の推移です。なお倍率は実受検者/合格者で、合格者は正規合格者です。またMは男子、Fは女子です。千葉と埼玉の2段階選抜の学校の2次の人数は応募者数ではなく受験者数です。なお未公表・非公表の数値は*と表記してあります。


(1)東京の国立大付属校

上記のように東京には8校の国立大付属中学校があり、そのうち中等教育学校は東京学芸大附国際と東京大附の2校です。また他の6校のうち筑波大附駒場を除いた5校は高校進学に際し選抜があり、全員が併設高校に進学できるわけではありません。特に東京学芸大附中学3校から進学する併設高校は世田谷にある東京学芸大附属高校1校しかないためかなり厳しい内部選抜となります。またお茶の水女子大附は幼稚園から中学校までは共学ですが、高校は女子校なので男子は全員他校を受験します。なお筑波大附駒場は全国の国立大付属中学で唯一の男子校で他は全て共学校です。

都内の国立大付属中学の入試は東京大附の推薦を除き、東京(神奈川も)の公立中高一貫校と同じ2/3に行われています。そのため都立・区立の公立一貫校11校と国立大付属中学は併願できません。

お茶の水女子大附   M     54→55名(102%) 1.6→1.4倍        
F 263→246名(94%) 5.0→6.1倍
東京学芸大附竹早 M 164→141名(86%) 2.9→2.1倍
F 157→180名(115%) 2.4→3.0倍
東京学芸大附小金井 M 74→71名(96%) *→*倍
F 64→68名(94%) *→*倍
東京学芸大附世田谷 M 142→151名(106%) 2.2→2.6倍
F 145→163名(112%) 2.4→2.9倍
東京学芸大附国際 A MF 160→206名(129%) 3.8→5.0倍
B MF 149→168名(113%) 4.3→4.5倍

お茶の水女子大附(文京区)は中学校までは共学校ですが高校は女子校となるため男子の応募者は女子に比べて極端に少なくなります。募集定員が併設小からの進学人数によって毎年変動します。2019年は男子25→25名と変わりませんが、女子は35→30名と5名の減員でした。そのためか応募者は男子が微増で、女子は6%減ですが、受験者は男子が42→39名と3名減、女子は逆に174→183名と9名増で倍率は男子がやや低下、女子は5.0→6.1倍と上昇しています。なお現在の小5が受験する2021年入試より算数・国語・理科・社会の4科入試から適性検査型入試に変わることが発表されています。

東京学芸大附属の4校のうち東京学芸大附国際中等教育学校以外の3校は中学のみの学校で、高校は世田谷区にある東京学芸大付属校しかないため、高校進学に当たり一般生とは別枠の入試で選抜されます。東京学芸大の付属中3校の入学者レベルは公立中高一貫校の勢いに押されて低下気味でしたが、近年は年による上下はあるものの下げ止まりといってよいでしょう。


東京学芸大附竹早(文京区)の応募者は男子が14%減、女子は15%増と対称的な応募状況です。倍率も男子が2.9→2.1倍と下がり、女子は2.4→3.0倍と上昇しています。繰り上げ候補は男女各15名が発表されましたが繰り上げ人数は非公表です。


東京学芸大附小金井(小金井市)は附属の4中学の中で唯一大学と同じキャンパスにあります。募集人員が少なく2019年の定員は男女計で50名です。応募者数は男女とも微減です。倍率は非公表です。補欠候補は男子12名、女子13名が発表されましたが繰り上げ人数は非公表です。


東京学芸大附世田谷(世田谷区)は2017年入試で通学区域に東京の三鷹市・武蔵野市、神奈川の相模原市南区・藤沢市、埼玉の和光市・朝霞市が追加され範囲が拡大しました。また帰国入試はありませんが帰国生も受験できるようになりました。2019年入試では男女ともに応募者が増加。付属3校の中では最も好調な入試でした。繰り上げ候補が男子10名、女子12名が発表されましたが繰り上げ人数は非公表です。


東京学芸大附国際中等教育学校
東京学芸大附国際中等教育学校(練馬区)は附属大泉中と附属高校大泉校舎を再編統合し2007年に開校した新しい学校で、附属4校の中で唯一の中等教育学校です。中等教育学校(以下中等と略)とは中学(前期課程)と高校(後期課程)が一体となった学校で後期課程進学に当たっての選抜試験がなく、高校からの入学生もいません。またカリキュラム編成の自由度が高く先取り学習がしやすくなります。

さらにこの学校は海外帰国生が多く、学年によって異なりますがおよそ3~4割が帰国生で、まさにその名の通りグローバルな学校です。また理系にも強く文科省からスーパー・グローバル・ハイスクール(SGH)とスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)両方の指定を受けています。さらにIB(国際バカロレア)ディプロマ・プログラムの認定校であり、ユネスコ・スクール加盟校でもあるなど、最先端の教育を行っている学校です。

卒業生の進路も多様で120名前後の卒業生と少ないため特定の大学へ多数の合格者が出ることはありませんが、北米やヨーロッパやアジアなどの海外大学への進学者が多数おり、国内では東大・一橋大・東工大や早慶上智大などの難関私大の合格者もいます。

入試は書類審査と面接および、A方式(外国語作文と基礎日本語作文)とB方式(適性検査Ⅰ・Ⅱ)のどちらかを選んで行われます2019年入試ではA方式の応募者が160→206名で29%増、B方式の応募者が149→168名で13%増と大幅に増えています。倍率はA方式が3.8→5.0倍と大幅上昇、B方式も4.1→4.8倍と上がっています。


筑波大附   M     213→247名(116%) 4.0→5.1倍        
F 249→266名(107%) 4.3→4.8倍
筑波大附駒場 M 661→736名(111%) 4.3→4.8倍
東京大附 推薦 M 181→237名(131%) 12.9→15.8倍
推薦 F 261→273名(103%) 16.2→15.9倍
一般 MF 514→584名(114%) 5.3→6.2倍

筑波大附(文京区)は東京高等師範学校の付属中学校以来の名門校ですが、東大合格者が2013年から2015年にかけて38→29→17名と激減したためか、2016年入試では男子の応募者が大幅減、女子も11%減となりました。しかし2017年以降東大合格者数は30名台に回復し、応募者も3年連続で増加しています。合格最低点(割合)は男子72%、女子74%でした。補欠候補と繰り上げ人数は非公表です。なお2020年入試では募集人数が約65名→約80名に増員され、2021年入試からは入試科目が現在の8教科(全教科)から算数・国語・理科・社会の4教科になります。


筑波大附駒場
筑波大附駒場(世田谷)は全国の国立大付属中で唯一の男子校で、高校進学に当たり選抜がなく、同じ系列の筑波大附と異なり付属小学校からの進学者がいないなど、他の国立大付属中とはさまざまな点でかなり異なる学校です。

今春の卒業生は163名で、国公立大学合格者が145名(現役108名)、そのうち8割以上が東大で118名(現役88名)ですから、非常に国立大志向とりわけ東大志向が強い学校です。なお残りの国公立大合格者27名中16名は東京医科歯科大11名などの医学部です。東大合格者の比率は72%(現浪計)で、合格者の人数では全国一の開成の東大合格者の比率(47%)と比べても圧倒的に高く、進学校としての実績はずば抜けていて首都圏(東日本)トップと言ってよいでしょう。

2017年以降の応募者は793→689→661と減少が続きましたが、2019年は661→736名と11%増で700名台を回復しました。難易度は応募者が減少していた年も今年もまったく変わっていません。合格最低点は調査書点100点をふくめて500点満点で322点でした。


(2)神奈川・千葉・埼玉の国立大付属校

横浜国大横浜       MF         263→281名(107%) 2.6→4.6倍        
横浜国大鎌倉 MF 102→115名(113%) 1.4→*倍
千葉大附 M 172→234名(136%) 3.5→7.9倍
F 150→184名(123%) 3.2→5.2倍
埼玉大附 M 124→*名(*%) *→*倍
F 152→*名(*%) *→*倍

横浜国大の附属中は横浜と鎌倉にあり2017年4月からともに校名が「横浜国立大学教育人間科学部附属横浜(鎌倉)中学校」から「横浜国立大学教育学部附属横浜(鎌倉)中学校」と変更されています。


横浜国大横浜
横浜国大横浜(横浜市南区)の2017年の応募者は282→198名と30%の大幅減ですが、これは検査日が同じ2/3の横浜市立横浜サイエンスフロンティア高附中の開校によるものです。2018年には263名と大幅に回復し、2019年は募集定員が70→45名と減員されましたが応募者は263→281名と7%増です。実受験者が200→230名と30名増にも関わらず、合格者は78→50名と絞られて倍率は2.6→4.6倍に大きく上昇しています。合格最低点は非公表です。


横浜国大鎌倉(鎌倉市)は2019年入試で一般の募集定員を50名程度→40名程度に減員(帰国入試の定員は15名で変わらず)、さらに一般・帰国ともに入試日を2/2→2/3に変更しています。2019年の応募者は男子が59→57名と3%減、女子は43→58名と35%の大幅増となり、定員減にもかかわらず合計では102→115名と13%増になりました。合格者も67→54名と減っていますが受験者数が非公表のため倍率は不明です。合格最低点も非公表です。


千葉大学附(千葉市稲毛区)の応募者は男女とも大幅に増え、受験者も309→406名と31%の大幅増です。補欠候補が男子38名、女子40名発表されていますが、繰り上げ人数は非公表。合格最低点も非公表です。


埼玉大学附(さいたま市南区)は2019年入試で定員が男女各80名→男女各70名に減員されました。定員には併設小学校からの連絡進学者(内部進学者)を含んでいます。入試状況に関しては応募者数・受験者数・合格者数などの基本データが未公表(非公表?)のため入試状況はまったく不明です。


2.公立中高一貫校

(1)東京の公立中高一貫校

東京の公立中高一貫校は都立が10校、千代田区立が1校の計11校です。また都立の10校は中等教育学校が5校、併設型一貫校が5校で、千代田区立は中等教育学校です。

ここ数年公立中高一貫校の応募者は減少傾向にあります。しかし応募者減・倍率低下によって難易度はほとんど下がっていません。いくつかの学校では応募者減・倍率低下にもかかわらずむしろ難易度が上がっているケースもあります。応募者の減少は人気が下がっているからではなく「お試し受検」はもちろん「チャレンジ受検」が減ってきてコアな受検層に絞られてきているためと思われます。また地域・学校によって多少の違いはありますが私立中学,特に上位校との併願受験者が確実に増えてきているのも近年の傾向です。実際のところ難易度が高いと思われる公立一貫校の合格者はほとんどが私学併願者です。

都立桜修館中等教育学校 M 368→378名(103%) 4.4→4.5倍
F 563→598名(106%) 6.6→6.9倍
都立大泉高校附中学校 M 426→375名(88%) 6.9→6.0倍
F 426→394名(92%) 6.7→6.2倍
都立小石川中等教育学校 特別枠 MF 1→4名 (400%) 1.0→3.0倍
一般枠 M 553→506名(92%) 6.5→5.8倍
一般枠 F 486→526名(108%) 5.4→6.0倍
都立立川国際中等教育学校 帰国枠 MF 56→54名(80%) 1.9→1.8倍
一般枠 M 294→259名(112%) 4.2→3.9倍
一般枠 F 355→349名(98%) 5.2→5.2倍
都立白鷗高校附中学校 特別枠 MF 9→5名(56%) 4.5→2.5倍
帰国枠 MF 45→69名(153%) 1.9→2.9倍
一般枠 M 411→395名(96%) 6.0→5.8倍
一般枠 F 547→537名(98%) 7.6→7.6倍
都立富士高校附中学校 M 270→261名(97%) 4.2→4.5倍
F 333→311名(93%) 5.4→5.0倍
都立三鷹中等教育学校 M 465→478名(103%) 5.6→5.8倍
F 491→600名(122%) 5.9→7.3倍
都立南多摩中等教育学校 M 407→420名(103%) 5.1→5.0倍
F 435→489名(112%) 5.3→6.1倍
都立武蔵高校附中学校 M 295→302名(102%) 4.6→4.8倍
F 240→291名(121%) 3.9→4.8倍
都立両国高校附中学校 M 369→407名(76%) 5.8→6.5倍
F 403→405名(100%) 6.5→6.5倍
千代田区立九段中等教育学校 A(区内) M 65→96名(148%) 1.4→2.2倍
A(区内) F 86→87名(101%) 1.9→2.1倍
B(区外) M 299→227名(76%) 7.0→5.3倍
B(区外) F 390→328名(84%) 9.2→7.5倍

都立小石川中等教育学校(文京区)は2006年に開校した中等教育型の一貫校です。母体校の都立小石川高校は1918年に開校した(旧制)東京府立第五中学校を前身とするため、昨年2018年に創立100周年を迎えています。都内の公立一貫校で最も入試レベルが高く、私立難関中との併願者が一番多い学校です。主な併願校は、男子では麻布、栄光学園、武蔵、渋谷教育学園幕張、女子は浦和明の星女子、女子学院、豊島岡女子、吉祥女子、共立女子などです。今春の大学合格実績は留学をしている2名を除く156名の卒業生で、東大16名、京大9名、一橋大5名、東工大8名など国公立大合計89名、早慶上理186名でした(現浪計)

2019年入試の一般枠では男女が対称的な応募動向で男子が533→506名と8%減、女子は486→526名と8%増でした。今までの結果から見てこの程度の増減では難易度の変動はないでしょう。なお私立難関中との併願者が多いだけに手続き締切り時の未手続き者が21名(男子13名、女子8名)いました。そのため21名が繰り上げ合格になりましたが、手続き締切後の辞退者がいれば繰り上げは21名を超えて出されます(手続き締切後の繰り上げ人数は非公表)


都立武蔵高附中
都立武蔵高附中学校(武蔵野市)は都立武蔵高校を母体校とする併設型の中高一貫校で中学校の募集は3学級の120名、高校からは2学級80名の募集です。多摩地区の公立一貫校ではトップ校で、都内の上位層を都立小石川中等教育学校と分け合っています。実際にはほぼ東西つまり23区と多摩地区で棲み分けています。

2018年の大学国公立大合格実績は現浪合計で、東大13名、京大1名、東工大1名、一橋大6名など計77名でした。2019年入試の応募者は男子が295→302名と2%増、女子は240→291名と21%増でした。私立中との併願者も多く、主な併願校は男子が早稲田、早稲田実業、桐朋、明大明治、女子は吉祥女子、晃華学園、明大明治、国学院久我山などです。今春の手続き締切り時の未手続き者は7名(男子5名、女子2名)でした(前年は9名)


都立桜修館中等教育学校(目黒区)は都立大学付属高校を母体校として2006年に開校した中等教育型の一貫校です。募集は4学級160名です。城南地区は中学受験率が高く駒場東邦、都市大付、鷗友学園女子、香蘭女学校など競合する有力な私立中学も多いのですが、公立一貫校が桜修館しかなく小石川、武蔵につぐレベルの優秀な生徒が集まっています。

2019年の大学合格実績は現浪合計で、東大7名、京大2名、東工大8名、一橋大5名など計62名です。2019年入試の応募者は男女とも増えており、男子が368→378名と3%増、女子は563→598名と6%増で、倍率も男女ともに上昇しています。地域柄か私学との併願者が多いので辞退者も小石川に次いで多くなります。今春の手続き締切り時の未手続き者は18名(男子9名、女子9名)でした(前年は15名)


都立富士高附中学校(中野区)は2010年に併設型中高一貫校として開校した学校です。母体校の都立富士高校は1920年に東京府立第五高女として開校し来年2020年に創立100周年を迎える伝統校です。中学校の募集は3学級の120名、高校からは2学級80名の募集です。東京都教育委員会から理数アカデミー校(文科省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に相当)に指定され人気が急上昇しました。

2018年の国公立大合格実績は現浪合計で、東大2名、京大1名、東工大2名、一橋大1名など、計51名でした。2019年入試の応募者は男女ともに微減ですが難易度には変化ありません。今春の手続き締切り時の未手続き者は3名(男子2名、女子1名)でした(前年は7名)


なお東京都教育委員会より中高一貫教育校の改善について以下の発表がありました。

併設型一貫校5校の高校募集を廃止して中学募集の定員を拡大する。
・富士・武蔵は2021年入試より
・両国・大泉は2022年入試より
・白鷗については施設整備の状況をふまえて実施時期(2021年以降)を検討する。
*中学募集人員の拡大規模についての発表はまだがありませんが、1学級40名増の可能性が高いでしょう。


(2)神奈川の公立中高一貫校

神奈川の公立中高一貫校は県立が2校、横浜市立が2校、川崎市立が1校で計5校です。県立の2校は中等教育学校で2009年に同時開校、横浜市立2校と川崎市立の1校は併設型一貫校です。県立2校の開校の場所については、神奈川県の中心であり最も人口が多い横浜市と川崎市を避けて相模原市と平塚市で開校、横浜市と川崎市における中高一貫校の設立は両市に託されたという経緯があります(横浜市と川崎市には市立高校が数校ずつあるので一貫校の母体になる学校があります)

県立相模原中等教育学校 M 600→587名(98%) 7.4→7.1倍      
F 683→688名(101%) 8.2→8.2倍
県立平塚中等教育学校 M 421→396名(94%) 5.1→4.8倍
F 423→438名(104%) 5.1→5.4倍
横浜市立南高校附 M 352→348名(99%) 4.9→4.3倍
F 503→473名(94%) 5.4→5.4倍
横浜市立横浜
サイエンスフロンティア高附
M 330→301名(91%) 7.9→7.1倍
F 236→216名(92%) 5.4→5.1倍
川崎市立川崎高校附 MF 535→519名(97%) 4.3→4.2倍

県立相模原中等教育学校(相模原市)の2015年に卒業した1期生は、東大5名、京大3名、東工大7名、一橋大4名など国公立大53名、早慶上理大102名、GMARCH大154名(当然全員現役です)で、卒業生152名中4年制大学進学者は89%という高い水準でした。昨年2018年3月に卒業した4期生の国公立大の実績は東大9名、京大2名、東工大5名、一橋大4名、など75名と過去最高でした。

2019年入試の応募者は前年並みで、男子が600→587名と2%減、女子は683→688名と1%増でした。主な併願校は、男子が開成、麻布、駒場東邦、栄光学園、聖光学園、海城、サレジオ学院、女子は早稲田実業、フェリス女学院、女子学院、豊島岡女子学園、鷗友学園女子、洗足学園、神奈川大附などです。繰り上げ人数は非公表ですが、若干名の繰り上げがあったようです。


横浜市立南高校附(横浜市南区)は2012年に横浜市立南高校を母体校として開校した併設型の一貫校です。中学の募集は4学級160名、高校からの募集は1学級40名です。2018年3月に1期生が卒業しました。それまで最難関レベルの国立大の合格者はほとんどいませんでしたが、中学1期生の卒業でいきなり東大5名、東工大5名(1名は高入の浪人生)、一橋大1名、横浜国大18名など国公立大計18→62名と大躍進です。

2019年入試の応募者は男子が352→348名と1%減、女子は503→473名と6%減でした。合否判定は調査書点A値、適性検査の得点B値の換算した値の合計をS値とし、男女上位70名まではS値の高い順に合格者を決定し、残りの各10名(と繰り上げ候補)はB値で合格者を決定します。そのため合格者は男女同数にはなりません。過去7回の入試ではすべて女子の合格者の方が多かったことから女子受検生のレベルの方が高いことがわかります。 併願校は男子が開成、麻布、栄光学園、聖光学院、慶應普通部、慶應湘南藤沢、逗子開成、鎌倉学園など、女子はフェリス女学院、横浜雙葉、横浜共立、洗足学園、鎌倉女学院、神奈川大附、青山学院横浜英和、山手学院などでした。特に女子は難関私立中に合格しても南高附へ進学を決める受験生が増えていて、入学者の学力レベルは相当に上がっています。


横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校附(横浜市鶴見区)は2017年4月に開校した併設型の中高一貫校で、募集定員は男女各40名で計80名。母体校の横浜市立横浜サイエンスフロンティア高校は2009年4月の開校で、横浜市の開港150周年記念事業として約100億円の予算を投入して設立された理数科の高校です。超高校レベルの施設(理科実験教室20室など)をそなえ東大、横浜市大や理研などとの連携で学外の人材も投入され最高レベルの教育環境と言えます。また文科省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)とスーパーグローバルハイスクール(SGH)両方の指定を受けています。

2019年春の大学合格実績は卒業生236名で東大5名、東工大10名、一橋大2名、筑波大11名、東京農工大6名、横浜国大18名など国公立大120名(現役89名)でした。2019年入試の応募者は男子が9%減、女子は8%減でした。なお同じ横浜市立ですが南高校附と異なり横浜市外からの受検はできません。また合格者は男女各40名の定員通りに出されます。男女で応募者数や倍率の大きな開きがありますが、理系イメージが非常に強い学校ですから男子が多くなるのは当然でしょう。併設高校でも男女比はおよそ2:1とのことです。ただし女子は人数が少なくても非常に優秀な生徒が多いとのことです。


(3)千葉の公立中高一貫校

千葉の公立中高一貫校は2016年の県立東葛飾中の開校により3校になっています。なお県立の2校は2段階選抜です。

県立千葉中学校   1次 M   387→372名(96%) 2.3→2.3倍        
1次 F 335→305名(91%) 2.0→1.9倍
2次 M 141→148名(105%) 3.5→3.7倍
2次 F 148→147名(99%) 3.7→3.7倍
県立東葛飾中学校 1次 M 424→474名(112%) 2.6→2.9倍
1次 F 396→453名(114%) 2.5→2.8倍
2次 M 150→143名(95%) 3.8→3.6倍
2次 F 150→151名(101%) 3.8→3.8倍
千葉市立稲毛高校附 M 257→287名(112%) 6.0→6.7倍
F 319→316名(99%) 7.6→7.4倍

県立千葉中学校(千葉市中央区)は全国の公立中高一貫校の中の最難関校です。2008年4月に県立千葉高校を母体校として開校した併設型一貫校で、中学の定員は80名です。2019年入試の応募者は男子が4%減、女子は9%減となりましたが難易度は変わっていません。応募者の減少はチャレンジ層が県立東葛飾中に回ったためと思われます。


県立東葛飾中学校(柏市)は2016年4月に県立東葛飾高校を母体校として開校した併設型一貫校で、中学の定員は80名です。開校初年度入試では1100名を超える応募者を集めました。適性検査は県立千葉中学校と同一の問題ですが、面接にプレゼンテーション的な要素を取り入れ県立千葉中学校との違いを出しています。2019年入試の応募者は男子が424→474名と12%増、女子は396→453名と14%増でした。


(4)埼玉の公立中高一貫校

埼玉の公立一貫校はこの4月に「さいたま市立大宮国際中等教育学校」が開校し、県立1校とさいたま市立2校の計3校になりました。入試では3校とも2段階選抜で県立伊奈学園は県内全域から受検できますが、さいたま市立の2校はさいたま市内からしか受検できません。また3校の1次選抜日は伊奈学園と浦和が1/12、大宮国際は1/13と大宮国際が1日ずれているため大宮国際と伊奈学園または浦和との併願が可能です。しかし2次選抜日はさいたま市立の浦和と大宮国際は両方とも1/19ですからたとえ1次で浦和と大宮国際の両方に合格していても2次はどちらかしか受検できません。なおさいたま市内在住者なら伊奈学園と大宮国際を併願することができます。

 
県立伊奈学園中学校     1次 M   143→159名(111%)   2.1→2.1倍    
1次 F 223→212名(95%) 1.9→1.9倍
2次 M 67→74名(110%) 2.5→3.5倍
2次 F 117→109(93%) 2.2→2.2倍
さいたま市立浦和中学校 1次 M 233→308名(132%) 2.3→.2.8倍
1次 F 268→388名(145%) 2.7→3.6倍
2次 M 98→74名(76%) 2.5→1.9倍
2次 F 97→67名(69%) 2.4→1.7倍
さいたま市立
大宮国際中等教育学校
1次 M *→444名(新設) *→.1.8倍
1次 F *→566名(新設) *→2.3倍
2次 M *→204名(新設) *→2.6倍
2次 F *→211名(69%) *→2.6倍

県立伊奈学園中学校(北足立郡伊奈町)は2003年に首都圏で最初の公立中高一貫校として伊奈学園総合高校を母体校として開校しました。中学で80名募集ですが、高校からは一貫生を除いて715名募集という大規模校です。2018年卒業の内進生(10期生)63名の進路実績は、国公立大が一橋大1名、埼玉大2名など8名、私立大は早慶上理が3名、MARCHが10名でした。入試ではかつて1次出願時に抽選がありましたが2013年から廃止されています。合否判定は男女同一基準です。1次検査は作文、2次検査は面接で1次検査の作文は内容的には小論文です。2次合格者は定員80名ぴったりですが、例年通り女子が多く、男子30名、女子50名でした。


さいたま市立浦和中学校(さいたま市浦和区)は募集が男女各40名ずつで計80名の併設型中高一貫校です。2015年春に卒業した2期生で東大7名、東工大2名、一橋大2名などの合格者を出し注目されました。そのためか2019年入試の応募者は男子で32%増、女子で45%増と大幅に増加しました。ただし前述の事情で1次選抜合格者は同じさいたま市立の大宮国際の合格者と相当数がダブっているはずです。2次選抜の欠席者は男子が31名、女子は38名、合計69名で、この内のかなりの人数は大宮国際の2次選抜を受検したものと思われます。2次選抜は欠席者が増え受験者が減ったために男女ともに倍率が低下しています。なお例年私立中との併願者が多く、県内の開智や栄東あるいは都内私立上位校などとの併願者が多くなっています。


さいたま市立大宮国際中等教育学校(さいたま市大宮区)は今年4月に開校したばかりの学校です。本校は市立浦和と異なり中等教育学校ですから、高校からの募集がない完全中高一貫教育校です。定員は男女80名ずつ計160名。入試は浦和と同じく2段階選抜で選抜日は前述の日程で、合否判定は男女別です。また適性検査には公立一貫校では初の英語の会話文からの出題がありました。これはさいたま市内の市立小学校全校で行われている英語の授業を踏まえた出題です。前評判も上々で、開校初年度ということもあり1次選抜の応募者は男子が444名、女子は566名、合計1010名でした。市立浦和でも触れたように浦和と大宮国際とのダブル受験者が相当にいた模様です。1次選抜に合格して2次選抜を欠席したのは、男子が36名、女子は29名でした。また公立一貫校の初年度入試に通例のことですが公立一貫校のみの受検者も相当数いたようです。


(終わり)

[次回予告] 「2019年首都圏中学入試を振り返って」

いままで10回にわたって2019年中学入試速報をお伝えしてきましたが、次回は2019年首都圏中学入試の振り返って、全体の傾向や注目すべき動きについて考えてみます。

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